ビル・エヴァンス

ビル・エヴァンスのレビュー・評価・感想

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ビル・エヴァンス
10

心の奥底をオリジナル旋律で揺さぶりきるジャズピアノの精髄

ビル・エヴァンス。ジャズピアノの最初の衝撃は、この人がタバコを燻らせて奏でる繊細な不協和音にあると感じる人が多いと思います。ジャズでありながらその基礎素養はクラシックにあり、他の骨格の太いジャズピアニストとは一線を画しており、きわめて端正で精神性が高く宇宙的。朝鮮戦争時代、兵役を経験したこともあってか、死と生の間を深く垣間見たこともあったことが影響しているかもしれません。
際立って美しいメロディー、そしてなんともいいようなく感情の整理がつかなくなるほどの音階を駆使した個性的な演奏は、耳にした人の魂を揺さぶってやみません。ジャズピアノの真髄の一端はこの人が担っていると誰もが認めることと思います。

1929年にアメリカニュージャージー州で生まれ、1980年に51歳で亡くなっています。ジャズの最も華やかな時代の代表選手の1人と言えるでしょう。
死因は薬物乱用などによる肝臓の病気のため。その音楽からも想像できるように、極限の美意識から醜さを拒絶したためか、治療を拒否した自殺のような最期だったそうです。
彼の演奏は街にさり気なくスタンダードとして流れていますが、その存在を改めて認識すると、その人間性の深さに首を垂れるしかありません。その1曲1曲が粒揃いです。