きっと、それは愛じゃない

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きっと、それは愛じゃない
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マッチングアプリ時代の恋愛観が一変する!? やっぱりみんな恋がしたい

映画『きっと、それは愛じゃない』は、『ブリジット・ジョーンズの日記』などの恋愛映画をヒットさせてきた製作陣が、「悩める現代人に新たな愛と人生のガイドを送る」という触れ込みで公開された。
マッチングアプリやSNSでの出会いが広がりを見せる中、私たちはどう「恋愛」に対処すればよいのか?あまりにも膨大な“出会いの機会”に、若者はもはや辟易している感すらある。
そんな中にあって、『きっと、それは愛じゃない』は、ある意味原点回帰を促す1本といえるかもしれない。

主人公のゾーイは、ロンドンでドキュメンタリー監督として活躍している。実家のお隣さん一家はパキスタン出身で、幼馴染の医師・カズとは大人になっても家族同然に付き合っている。
そんなカズが、ある日両親の決めたお見合い結婚をすると告白。ゾーイは「愛なき結婚」に興味を示し、カズのお見合い結婚のドキュメンタリーを撮りたいと懇願するのだった。

「結婚には愛以上に大切なものがある」と主張するカズ。一方のゾーイは「運命の出会いがきっとあるはず」といいつつ、実際はダメ男にばかりハマっている。
結婚観がまるで正反対の2人。ドキュメンタリー撮影を通じて互いの「恋愛」に対する思いが交差しはじめる。

大抵のラブコメ映画なら、カズとゾーイが惹かれあってハッピーエンドなのだろう。しかし『きっと、それは愛じゃない』は違った。
パキスタンにルーツを持つカズは、「恋愛結婚では必ず離婚の危機が訪れるし、家族の願いも叶えられない」と、頑ななまでにお見合い結婚を続行する。そして本当に、パキスタンに住む22歳という若い女性とお見合い結婚するのだ。
話は、結婚後も続く。

扱うテーマは深刻だが、そこはラブコメ常勝軍団の映画。随所にクスっとした笑いや、パキスタンでの盛大な結婚式シーンが織り交ぜられ、観ていて飽きない。
果たして「愛なき結婚」に愛は生まれるのか?そしてゾーイは幸せになれるのか?
この作品を通して、価値観の違いとか育った境遇の違い、宗教や文化の違いをも飛び越えて「幸せな結婚」とは何なのかを考えさせられる。
出会いが、アプリや機械のマッチングであっても、それも1つの「愛の形」と言える時代だ。けれど、そこには必ずお互いの「理解」が必要なのかもしれない。