キリエのうた

キリエのうたのレビュー・評価・感想

New Review
キリエのうた
10

3時間が短く感じられる映画

2時間58分。これは岩井俊二監督の『キリエのうた』という音楽映画の上映時間だ。約3時間というこの上映時間を知って、観に行くか迷う人もいるかもしれない。でも、素敵な音楽と物語に包まれた非常に心地良い3時間は、寧ろ短く感じられる。

『キリエのうた』は、元「BiSH」のアイナ・ジ・エンドが主演を務め、主題歌「キリエ・憐れみの讃歌」を歌唱、その他6つの劇中曲を制作した。どの曲もとても素敵で、劇中の映像と相まってさらに儚く、綺麗に聞こえる。メインキャストは「SixTONES」の松村北斗、黒木華、広瀬すずととても豪華で、役柄の魅力がより一層引き立てられて見えた。

この監督の映画は独特な世界観や音楽性で人気で、この作品に関してもファンからの期待の声が多かった。実際、ありがちな言葉で綴りたくない雰囲気と中毒性を含んでおり、その独特な世界観に、映画館という空間がじわじわと染められていく感覚があった。
考えさせられるという意味では凄く引きずる作品にも関わらず、何故か心の蟠りを解いてくれるような心地よさもあり、不思議な魅力を感じた。
1度見るだけでは満足できない感覚が本当に堪らない。この作品を機に岩井俊二監督の作品に興味を持つ方も多いのではないだろうか。