雑貨店とある

雑貨店とあるのレビュー・評価・感想

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雑貨店とある
9

通いたくなる「雑貨店とある」

人生は毎日楽しいわけではない。立ち止まって考えたい日、人生に疲れた日、落ち込んだ日など様々だ。
そんな時に行きたくなるような「雑貨店とある」の日々が、この漫画には描かれている。

「雑貨店とある」は文字通り雑貨店だ。その一画にはカフェスペースがある。座席数わずかの狭いスペースで出されるメニューは「とある」ならではの物ばかりだ。
期間ごとにおすすめメニューは変わる。「とある」の扉に貼られたメニューの名前に、登場人物たちはついその扉を開けたくなるのだ。
「あのチョコレートパフェ」や「いい事だらけのパウンドケーキ」「訳アリな丸ごと焼きりんご」などという張り紙を見たら、扉を開けてみたくもなるだろう。
そうして開けた登場人物たちは「とある」のメニューの美味しさと、優しい店主の言葉に、疲れた心や悲しむ心を少しだけ軽くして日常生活に戻って行くのだ。

手間暇かけて作られた美味しい食べ物や、身近過ぎない第三者の人物(ここでは「とある」の店主)から送られる思いやりの篭った言葉たち。そういったものに励まされ、登場人物たちは扉を開けて自分の日常世界に戻っていく。
そんな日々の中の癒しになるようなカフェが描かれた『雑貨店とある』を読めば、きっと現実世界の私たちも癒されることだろう。