コカイン・ベア / Cocaine Bear

コカイン・ベア / Cocaine Bearのレビュー・評価・感想

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コカイン・ベア / Cocaine Bear
7

クマ×薬物、ダメ、絶対

セスナ機でコカインが詰まった大量のバッグが運ばれている最中、運転手と思わしきおっさんがハイテンションでバッグをセスナから捨て、自身は天井に思いっきり頭をぶつけてそのまま気絶して落ちて、かっこ悪く死亡。しかも国立森林公園の中で生息しているクマが、セスナ機から降ってきたコカインの封を破って口にしてしまったからさあ大変。森林公園に来ていた婚約中のカップルの彼女の方が、コカインでキマッているクマに捕まって、片足を食いちぎられて放り投げられるという、クマの謎のこだわりの襲われ方でお亡くなりになった。クマの暴走は収まらないうえに、森林公園にはその後も、学校をさぼって滝をスケッチしに来た少女と少年と追いかけてきた母親、コカインを回収しに来たギャングや刑事など、何も知らずにたくさんの人々が集まってきた。本人たちが意図せず起きてしまったコカインベアと人間の闘いはいったいどうなってしまうのか、というのがこの映画のストーリーである。

この映画の魅力は、クマがCGで作りものだという事を忘れるレベルの恐怖の演出だ。クマの手がレンジャーハウスのドアの窓ガラスを突き破って、人の顔に覆いかぶさった瞬間に、上映中なのに、本気で恐怖の声を上げてしまった。レンジャーのおばさんが拳銃を所持していたけれども、冒頭でのクマの凶暴さを目にした後だから、おばさんが強者だという描写も経歴の説明もなく、ちいさな拳銃一丁だけであのクマに太刀打ちできるわけがないと思っていたから、おばさんが息を殺して銃を構えてクマを探す場面でクマが背後に現れた瞬間には、本気で震え上がった。
損壊した人体の作りこみも凄かった。拳銃で撃たれた男性(おばさんの誤射)の弾が貫通した頭の怪我や、おばさんのズボンを突き破ってクマに引っかかれた大きなお尻の傷など、強く脳裏に焼き付く傷痕が、クマがいない場面でも凄惨さ、恐ろしさを醸し出していた。
人間よりもはるかに大きな力を持った存在によって、人体がぐっちゃぐっちゃにされる様を見ることが好きだという人には、ぞくぞくと気持ちよくなれる逸品であった。