佐藤明(ザ・ファブル)の徹底解説・考察まとめ

佐藤明とは、南勝久による漫画『ザ・ファブル』の主人公で、殺さない殺し屋である。殺しの実力は「どんな敵でも6秒以内に殺せ」る程の凄腕。連載開始時点で現場に出て6年、合計71人を殺害している。その伝説的な強さのため、裏社会の人間から「寓話」という意味を持つ「ファブル」と名付けられた。『ザ・ファブル』本編ではボスの命令で殺し屋を休業中で、普通の生活に溶け込む訓練をしている。
実写映画版『ザ・ファブル』ではV6の元メンバー、岡田准一(おかだ じゅんいち)が明を演じている。

佐藤明のプロフィール・人物像

名前:佐藤明(偽名)
年齢:不明
身長:不明
体重:不明
誕生日:4月1日(偽造免許)
趣味:ジャッカル富岡

実写版キャスト:岡田准一

佐藤明(さとう あきら)とは、南勝久による漫画『ザ・ファブル』の主人公で、「どんな敵でも6秒以内に殺せる」ほどの実力を持つ凄腕の殺し屋である。殺しの痕跡を残さないことから、存在自体が不明で都市伝説となっている。連載開始時点で現場に出て6年、合計71人を殺害している。
組織のボスの命令で殺し屋を1年間休業することになり、殺しのパートナーで運転手の洋子を妹役とし、組織と取引のある大阪のヤクザ「真黒組」に住む場所を提供してもらい、普通の生活を送るようになる。
凄腕の殺し屋として、その能力を人助けに活用する一方で、一般人のふりをするために仕事を探して働いたり、友人を作ったり、恋愛したりと、人として成長していく。

本編中の回想シーンでは、殺し屋になるため幼少期から山でのサバイバル訓練を受けている。場所や道具を選ばないオールラウンダーで、ボスから教わった「知恵と工夫でなんとかなる」というのが口癖で、様々なものを代用したり作ったりしている。
短い時間であれば瞬間記憶をすることができ、ターゲットを車で追う時などマップを少し見ただけで記憶し運転している。
これらの明の戦闘をはじめとする能力は訓練や努力というより、「サヴァン症候群」の一種であるとされ、同業の鈴木から「オリンピックに暗殺の種目があれば金メダルを取れる」と評されるほどの才能を持っている。
自分の強さを消す能力を持っている。これは殺し屋の中でも会得している者が少ない能力であり、この能力こそが周囲の誰もが明の殺し屋としての能力を認める要因の一つである。

真黒組の海老原から快楽殺人鬼と揶揄されるが、実は明自身は殺人を好んでいるわけではない。普段は至って温厚で、仕事以外で無駄な殺生はせず、友達や世話になっている人物に対しては恩を返す性格である。

佐藤明の来歴・活躍

プロローグ

チンピラに絡まれた明(左)

天才的な殺しの腕を持ち、「どんな相手でも6秒で殺せる」殺し屋ファブルへの新たな命令は、”一般人として1年間暮らすこと”であった。プロとして殺しの休業に入ったファブルは佐藤明という偽名をもらい、パートナー・洋子と共に大阪へ。ボスに紹介された暴力団・真黒組には友好的に出迎えられるものの、若頭・海老原に敵視される。
洋子と飲みに外出した明は、帰り道に海老原が仕掛けたチンピラに絡まれるもプロとして対応し、鼻血を出し涙を流して謝った。この時ミサキが通りがかり「ハンカチ使う?」と声を掛けている。また、明はボスからの命令「ペットを飼う」を実行。悩んだ末にインコを購入し、様々な名前で呼びかけた結果、唯一反応した「カシラ」と名付けた。

襲撃の報告を受けても海老原はまだ明を警戒しており、明への警戒を解かなかった。次に海老原は明に犯罪者を殺すように指示するが、殺さないと言う明に対し「お前にとって命はなんや?」と銃を突き付けて質問した。この問に対し「今はインコを大事に育てたい」と答え、人を殺さず1年間暮らしたいと頭を下げる明。その答えが腑に落ちた海老原は明の協力者となることにした。

小島編

普通に生活するために、求職活動を始めた明はミサキの紹介で彼女のバイト先であるデザイン企画・有限会社オクトパスで時給800円で働き始めることに。同僚の貝沼はミサキを盗撮したり、ミサキの自宅に不法侵入しカメラを設置したりストーキングがエスカレートしていく。
その頃、海老原の弟分であった小島が15年の服役を終えて出所した。小島は昔のポジションに返り咲きたいと考えており、幹部・砂川の担当であるデリヘルに手を出そうと画策する。しかし同じ組である砂川のシノギと被ることを海老原に禁じられ、釘を刺されるのだった。そんな折、海老原が心筋梗塞で入院した。お目付け役がいなくなった小島は行動に移るのである。
まず、過去に金を貸したとして砂川の舎弟であるデリヘルの経営者を殺し、出店計画を進めた。その看板として目をつけられたミサキの自宅には小島の姿があった。ミサキは親の病気による借金を返そうと、過去にグラビアの仕事をしていた。さらに、不法侵入によりミサキの過去を知った貝沼はそれをネタに彼女をゆすり強姦を企てていた。

小島の動きに気づいた砂川は小島を殺すため殺し屋を用意した。入院中の海老原も小島の企てを知り、自由に動けない自分の代わりに明に内部抗争の阻止を依頼した。明は一度は断るが、海老原が大事にしていた車をやる。「これが俺の誠意や」と押されたため、普通の男なら断れないと引き受ける。

その裏で小島はミサキへの脅迫を続行。ミサキのバイト先の店長やオクトパスの社長が襲われ、母親の写真まで送られてくることに。追い詰められたミサキは誰にも相談できず、デリヘルとキャバクラで働く契約書にサインをすることに。明は彼女を盗撮している貝沼を問い詰め、動画から唇を読み、事の成り行きを理解し、ミサキを窮地から救うべく準備を始めた。自作の銃と弾丸を作り、洋子経由でGPS付きの時計を高橋につけさせた。

ミサキを救出するために準備をしている明に、ミサキから電話がかかり、オクトパスの社長が戻ったら明日休むことを伝えてほしいと伝言を頼まれる。明はミサキのお陰で仕事に就けたことや時給がアップしたことなど感謝を述べると、ミサキから「アタシの似顔絵描いてよーー!」と頼まれる。そして明は「ミサキちゃん、大丈夫ーすぐに帰れるよ。絵は明日渡せるよ」と決意するのだった。

ミサキの出勤初日、高橋のGPSで小島の元へ向かう明と洋子。ミサキ救出時に砂川が用意した殺し屋が現れるが、実弾を持たないハンデがありながらも、圧倒的な力量の違いで明がその場を制圧。殺し屋も小島も殺すことなくミサキの救出に成功した。
一方すべてを知るボスは海老原の入院先へ現れ、「明の高すぎる殺しのスキルを落としたいので邪魔をするな」と釘を刺した。

小島は海老原によってケジメとして射殺されることとなる。この一件でファブルの存在を知った砂川は秘密裏に何かを企み始めた。
ミサキは洋子の家に身を寄せ、明の書いた自分のイラストを眺めたりと平穏な時間を過ごしていた。

明の元には彼がファブルだと偶然知ってしまった真黒組の若手・クロ(黒塩)が現れ、弟子入りを志願してきた。クロは洋子から山にこもるという明の情報を聞きつけ、明に同行の許可を得た。キャンプだと思い込んでしまったクロだったが、山で人並み外れた明のサバイバル能力を目の当たりにすることに。食料としてマムシを捕らえたり、熊との遭遇を通して遺憾なく発揮される明の能力に、クロは明を「兄さん」と呼び、一層心酔していくのだった。

宇津帆編

街では興信所を経営する宇津帆(うつぼ)という男が新たにファブルのことを嗅ぎ回り始めていた。宇津帆は元真黒組の井崎、殺し屋の鈴木、車椅子のヒナコを率いて悪事を働いていた。表の顔で(映画では表向きは子供を守るNPO団体の運営)保護者の信頼を獲得し、その裏ではモンスターペアレントの元で過保護に育った子供をカモ(チキン)に大金をせしめるというものだった。
ヒナコは足のリハビリのため、通勤路である公園の鉄棒で車いすから立つ練習をしていたヒナコを見かけた明は、ヒナコが以前殺しのターゲットの車で泣いていた少女だと気づく。以降、明はなにかと彼女を気にかけるようになるのだった。

宇津帆の新たなターゲットとなった貝沼はミサキへの盗撮をネタに脅され大金の支払いを求められ母親に支払ってもらうことに。逆恨みした貝沼は職場でミサキを殺そうと刃物を振りかざしたところ、明が瞬時にプロの動きで制圧した。ミサキを救うことができたものの、その動きを社長に目撃された。

ミサキに刃物を振りかざしたところを明(左)に制圧される貝沼

社長の厚い人柄と勘違いのお陰でファブルである明の正体はバレずに済んだ。しかし、事務所を飛び出した貝沼が殺し屋・鈴木に拉致され、逃走中に転落死してしまった。また、鈴木は明をファブルではないかと探りをいれようと洋子の元を訪れていた。油断していたとはいえ、みくびっていた洋子に軽くあしらわれ、プロとしてのプライドがズタズタになった鈴木。明と洋子の2人の強さを実感し、この2人がファブルであると確信した。

鈴木から明の正体を知らされた宇津帆は、弟を殺したファブルを殺すため、鈴木と計画を練り始めた。それはヒナコを囮にするものだった。ついに宇津帆興信所と佐藤兄妹の直接対決が始まった。

人を殺したことのない洋子は、まんまと鈴木の罠にかかり人質に取られてしまう。宇津帆と鈴木は人質をとった上に、明に踏ませるため地雷を仕掛けていた。
ヒナコは親の仇がファブルだと宇津帆から聞かされていたが、実は宇津帆が真犯人だと気づいていた。信頼を獲得し銃を手に入れるため気づいてないフリをしており、頃合いを見計らいその銃で宇津帆を撃った。
しかしその拍子に車いすから立ち上がり、地雷を踏んでしまう。危機的な状況の中、明は冷静に事態を収束させる。明はヒナコを救いたい鈴木と協力し、地雷から彼女の足を救った。

鈴木が操作するショベルカーで、地雷とヒナコの間に壁をつくり爆風を封じ込める作戦だった。それには地雷爆発と同タイミングで驚異的なスピードでヒナコの足を引っ張りださなければならない。緊張の中、明が見事にヒナコの足を救ったのだった。最後は宇津帆が手榴弾を投げ、それを防ぐため鈴木が宇津帆を射殺。また、鈴木は逃げた井崎を処理して身を隠し、ヒナコは保護されることで興信所との一件は終結した。明はヒナコから感謝をつづった手紙を受け取り、人間らしい心の交流を味わった。

山岡編

明のプロポーズシーン

有限会社オクトパスの田高田社長はミサキの気持ちに敏感に気づいており、明との仲をとりもとうとクリスマスパーティーを開いた。束の間の平和な日々を送る明と洋子。田高田社長の目論見通りに明とミサキはいい雰囲気になり、面倒見の良い社長に洋子は父性を見出すのだった。

平和な日常の裏でクーデターを目論む砂川は、組長・浜田か若頭・海老原の暗殺を計画。その頃ボスの元には組織No.2の山岡という男が現れ、このクーデター劇に興味を持つ。クーデターを楽しむため、裏稼業人のマツを通じて、山岡は砂川に二郎という殺し屋を手配した。

脳の異常で恐怖を感じない山岡は、どうすればドラマチックな展開を引き起こせるのかゲームを練り上げていた。この男にとっては、殺人もすべてゲームの一環なのだ。二郎はオリジナルのキノコ毒「D1」で組長の浜田を肝硬変に見せかけ毒殺、そして砂川から今後の展望を聞いた山岡は砂川に協力することにした。

一方で洋子は街で山岡を目撃し、組織の人間が同じ街にいることに疑問を感じていた。組織の人間を目撃したことと、浜田組長の不審死の関係性を疑いながら、明は警戒を強めていた。

しかし佐藤兄妹に勘づかれていると知りながら、まるで誘っているかのように、山岡は次々と行動に移していくのだった。中国からユーカリという弟子を呼び戻し、反砂川派の幹部・水野を強襲し、これから砂川の下につくように脅したのだった。次の作戦のために更にもう1人の弟子であるアザミも中国から呼び寄せていた。
ボスから佐藤兄妹と関わらないよう釘を刺されていた山岡は、自分からは手を出せない。しかし、ボスから最高傑作といわれた明と戦いたい。好奇心に抗えず、大人しくボスに従う従うフリをし、明を引っ張り出すために作戦を練っていた。その駒として明の周りの人間を使うつもりでいた。同じ組織の人間である洋子も駒のひとつであった。
洋子は偶然見かけたと思っている山岡を忘れられずにいた。洋子は両親の仇が山岡だと確信し、ひとり復讐の準備を進めていた。それは山岡の作戦の序章だったのだ。また、用が済めば次は自分が消されると察知したマツは秘密裏に洋子にコンタクトをとり始めた。利害が一致した洋子とマツは、山岡のいるアジトに乗り込んだ。しかし2人の銃にはあらかじめ細工がしてあり計画は失敗。最初から山岡のシナリオに踊らされていたのだった。あまりの強敵に震える2人。

一方で山岡の作戦のヒロインとしてミサキをユーカリが拉致した。その場に居合わせた明は咄嗟に機転を利かせて名前を石原と偽り、一緒に拉致された。山岡のアジトについたとき、その場にいる誰もが明の正体に気が付かなかった。明の写真だけは誰も見たことがなかったのだった。そんな中アザミだけが明を凝視していた。

プレハブの中に監禁されたミサキと石原(佐藤明)。明がプレハブの中から外の様子を伺っていると、ミサキが目を覚ました。明はミサキが攫われそうになっているところを通りかかって助けようとしたが、一緒に攫われたと説明する。
ミサキは警察に連絡しようと言い出すが、携帯はプレハブの外、倉庫内のテーブルの上に取り上げられてしまっている。

明はミサキに正体を知られたくないが、ミサキに頸動脈失神を度々させたくはないと葛藤していた。そんな時、山岡はスズムシにミサキを襲えと命令する。スズムシはプレハブに入り、明を押しのけミサキに襲いかかる。倉庫内には物音とミサキの嫌がる声が響く。

山岡は、勘のいい明なら近くにいるはずと考え、ミサキの携帯から明を呼び出した。すると、テーブルの上に置いた”石原”の携帯のバイブが鳴り出す。一気に緊迫した空気が張り詰めた瞬間、プレハブの窓に、口から血を出したスズムシが張り付く。スズムシがゆっくり倒れ、その先に立っていたのは石原と名乗った一般人だった。一同は佐藤明の存在をこの時やっと認識した。

プレハブの外では洋子とマツの必死の反撃も虚しく、山岡とアザミ、ユーカリの連携で2人とも立ち上がれなくなっていた。
山岡が「佐藤アキラ―――じらすんじゃねぇ―――よ! そろそろ出てこいッ!! 丸腰なのは知ってる――― だから素手でやり合え――― 別に殺したい訳じゃない――― 腕を見たいだけだ!」と叫び、プレハブを囲むようにユーカリとアザミが待ち構える。山岡はプレハブと反対側の壁際で椅子に座り、見物を決め込んだ。

アザミはプレハブの裏に回り込んだ。ユーカリが待ち構えているプレハブのドアのガラスに人影が映り、ドアがゆっくり開く。ドアには気絶したスズムシが立っていた。そのスズムシの後ろで、明は懐から銃を取り出した。気付いた山岡も素早く銃を出すが、明に銃を持った側の肩を撃たれた。明は排莢しつつ、素早く前に出る。ユーカリは、明のほうへテーブルを蹴ってスライドさせるが、明はソファに飛び乗ってさけ、ユーカリに銃を向ける。しかしユーカリは倒れている洋子の頭を掴んで盾にした。汚いやり口である。その時、裏口から戻ってきたアザミに、「俺と素手でやろう」と誘われる。アザミを見る明。そこにユーカリが「俺に先にやらせろ」と割って入る。ユーカリは両腕を上げて構えながら近づく、明は両手を下げたまま立っている。2人を見ていた山岡は、圧倒的にユーカリが強いと確信し、「どこが最高傑作なんだ?」と考えていた。しかし、ユーカリのはなった右ジャブをスタートに、二人のパンチの打ち合いが始まる。明の右掌底がユーカリの側頭部に当たり、ユーカリはふらつく。明がドロップキックをしてユーカリはソファーの向こうに転がる。明は1秒でユーカリを圧倒し、「暗殺の最高傑作」の実力を見せつけた。この様子を見ていた山岡は、完全に気配が消せ、操れる能力に、暗殺者の最高傑作だと理解したのだった。

次にアザミと対決する明。明は読唇術によりアザミがボスから山岡拘束の密命を受けていたと知る。
アザミが踏み込みパンチを繰り出し、明はガードする。明が右ストレートを出すが、アザミは避け、明の伸びた右腕を掴んで一本背負い。アザミの掌底が振り下ろされる前に、明はハンモックの金具をアザミの肩に当てて止める。明はその隙に立ち上がる。アザミと明は向かい合い、明が山岡に背を向ける位置になった。明は唇の動きでアザミに「これ(ハンモック)で山岡を縛り付ける」と伝えると、アザミはハンモックの片方の留め具を外し、明ももう片方の留め具を外し、ハンモックの布を自分の身体に巻き付けた勢いで山岡の上半身に被せた。
明は布で周りが見えない状態だが、銃を撃ち出し、アザミの裏切りに気付いた。アザミは、ハンモックの土台の金具を山岡の足元に滑らせて「ボスの命令だ! あんたを拘束する―――」と言う。
その時、洋子がテーブルの上の銃で、山岡の上半身と脚に二発撃ち込んだ。ハンモックに包まれ様子が見えない山岡は、マガジンを装填する音をさせ、周りを困惑させながら倉庫のドアから出ていった。ユーカリの車のキーを持って逃げたのだ。

明はミサキを洋子に任せ、山岡を追った。助手席にアザミを乗せ、運転する明。山岡の車に撃ち込み、確実に追い詰めていく。山岡の銃に残された弾は残り1発。山岡の車はスピードを落とさず海へと向かっていき、港の岸壁の車止めに当たって跳ね上がった。跳ね上がった車の中で山岡は明に銃を向けていた。しかし山岡は銃を撃たずにそのまま海に沈んでいった。明とアザミは車から降りて、沈んでいく山岡の車を確認するが、死体を見たわけではない。逃がしてしまったのだった。

一同は解き放たれた山岡に誰も殺されないよう対策を練るのだった。今後の襲撃に備えて、明はミサキと、アザミは田高田社長と、洋子はユーカリと、それぞれコンビを組んで警戒するように作戦を立てた。スズムシを真黒組に預けることと引き換えに、組長暗殺の犯人を探す海老原に真相を伝えることにした。親殺しについて憤慨した海老原は関与した二郎や砂川、水野の捜索を命じたが、それを見越して山岡は砂川と水野をあっさりと殺してしまう。
明はミサキに真相と自分の正体を説明し、事が片付いたら街を出ていくと伝えた。ミサキの安全を守るためだった。オクトパスにはアザミが天涯孤独で求職中だと社長に相談を持ち掛け、住み込みで雇ってもらうことで、秘密裏にアザミが田高田社長を守ることになる。

砂川と水野の死体を処理するために、マツの秘密の埋葬場所へスズムシ、クロが同行。体液の漏れる死体を積み込んでいるときにクロの携帯に着信があり、現れたのは洋子とユーカリだった。今後の二郎捜索も相談しながら洋子は用意してきた荷物をマツに渡した。そこには捨てたはずの愛娘の写真があった。心から感謝するマツ。信頼関係を構築していく洋子とマツ。その横にいるクロは明と対戦したユーカリに尊敬する明の話を聞きたい様子だった。どこまでも明を尊敬し慕うクロ。

洋子は山岡の行動と思考を推理していた。2人目に殺害された組幹部の水野は銃を持っていたはずにも関わらず、心臓に一発で殺されていた。現場には水野の銃や携帯電話もなく持ち物の痕跡がない様子。なにもかもよくわからない状態だった。
「山岡の罠かも―――」死体搬送を進めようとするマツに対し、洋子が呟いた。「山岡は水野の携帯をGPS代わりに私たちを罠にハメるつもりかも…」ユーカリらとともに車の中を捜索する面々。やはり携帯は車の中に仕込まれており、山岡の罠に嵌っていたのだった。

一方、洋子の家でのミサキと明。ミサキを気遣う明と何か役に立ちたいと考えるミサキ。ミサキは今まで陰で明たちに守られていたことに気付くが、同時に事件が終わったときに2人がいなくなることも予感していた。ミサキは明に対し事件が終わっても消えないでほしいと切実に訴えるのだった。

裏切ったように見えたユーカリは、実は裏切った振りをしてマツとクロが殺されるのを防いでいた。急所を外し、クロの足を撃ち抜きクロの命を守り、その場で皆殺しにするつもりの山岡を誘導しマツたちを救ったのだった。同時に山岡と一緒に行動する自分のGPSを追ってこいと明への伝言を洋子に残していた。人を殺したことのない洋子は自分では山岡への復讐を達成できないと悟り、暗殺計画から手を引き、すべてを明に託すことにした。

明はどこかで会話を聞いているであろうボスに、「これ以上死人を出したくない」と語りかけた。するとボスから電話があり、アザミに出していた密命は山岡の拘束ではなく山岡の始末だったことを説明され、代わりに明が山岡を殺すことを命じられてしまうのだった。

山岡暗殺の命が明に出されたと知ると、山岡は興奮するのだった。自分の死にこだわりのある彼は、強い者の記憶に残るように死にたいと考えていた。そして山岡を親のように慕うユーカリとアザミは、劣勢の山岡を殺されたくない心が勝ち、今度は山岡側に寝返ることになる。

復讐からは手を引いた洋子に対し、ユーカリは両親の死の償いとして彼女が追っている二郎の情報を提供する。一方で海老原が待つアジトには山岡とユーカリ、アザミが到着。後から覆面をかぶった本気モードの明が登場し、ついに同門同士の対決が幕を開けたのだった。

直接対決では明が圧倒的な力を見せつけ、山岡に銃口を向けた。しかし明の脳裏にはミサキや社長たちの顔が浮かび、殺すことができなかった。最後は海老原が親殺しのケジメをつける形で山岡を射殺。二郎は洋子とマツ、鈴木班によって計らずも京都の山中で始末された。

山岡を殺せなかった明にボスはプロ失格と言うと同時に、合格と伝えた。明は「時代が変わる。組織はやり方を変えるようだ」と話している。明と洋子・ユーカリ・アザミは組織を抜けることになり、殺し屋稼業は廃業。アザミとユーカリも一般人となった。
ユーカリは明の退職により、欠員補充のバイトとしてオクトパスで働くことになり、明と洋子は街を出ることにした。

最終出社日に明は唐突に「俺はミサキちゃんが好きだ」と告白し、ミサキにエンゲージリングを渡す。戸籍を持っていないからか入籍はしないものの、ミサキはドギマギしながら快諾した。ミサキの身を案じた明は彼女を妻にすることで守り抜くと決意した。その力を人助けに使えというボスの命令を受け、佐藤兄妹は人助けの旅に出たのだった。

佐藤明の能力

モードを独特のスイッチで切替え

本編中にモードチェンジをする際、変顔でおでこを指で突く「スイッチ」が登場している。このトントンとおでこを突く行動は正確には「顔に力を込めてイメージチェンジしている。
襲われたミサキ救出の際や、同業者の前で無害な一般人を装ったり、山道を高速で運転する前にも、同じ変顔スイッチ(おでこを突いて切り替え)を使っている。

物語冒頭で標準語と関西弁の切り替えのために変顔スイッチが登場している。他に、広島弁、九州弁、東北弁を話すことができる。

鋭い感覚

訓練を通じて身に付けたサバイバル技術として、常人離れした感覚を持っている。監視カメラや盗聴器の位置を特定できる。相手が銃を所持しているか、同業者であるか、身体能力や何か盗撮など悪いことをしようとしているかなども気づくことができる。

幼少時の山でのサバイバル時に、食べられる物か判別するために舌の先で毒がふくまれているか特定できるようになった。その影響で舌の感覚が鋭敏になってしまい極度の猫舌となり、熱いものはよく冷まさないと食べられないため、猫舌シーンは度々ネタとして登場する。洋子が作った手料理の出来が悪いと、食べる前にそのことを指摘できる。アルコールには強いが、飲酒すると昔の傷が体に浮き出てくる。感覚が鈍らないように、自宅では全裸で過ごしている。

趣味:ジャッカル富岡

お笑い芸人・ジャッカル富岡のファンで、彼の出演する番組や広告を見ては大笑いしている。あまりにもツボにはまり笑っているため、周囲の人間から「そんなに面白いか?」と度々ツッコミをいれられているほどである。

殺し屋のキラーワード

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