超時空騎団サザンクロス(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『超時空騎団サザンクロス』とは、タツノコプロが製作し1984年4月15日から9月30日にかけて放映されたSFロボットアニメである。時は人類が宇宙に進出した遥か未来。テラフォーミングが進む惑星グロリエを舞台に、突如現れた謎の異星人「ゾル」と開拓惑星軍「サザンクロス軍」の戦い、そしてサザンクロス軍に所属する3人の女性軍人達の物語が描かれる。「女性が主人公のロボットアニメ」の先駆け的作品であり、独特な設定のゾル人や様々な謎、主人公側と異星人側の恋愛模様などが交錯していく。

『超時空騎団サザンクロス』の概要

『超時空騎団サザンクロス』とは、タツノコプロによるSFロボットアニメである。1984年4月15日から9月30日にかけて全23話が放映された。『超時空要塞マクロス』『超時空世紀オーガス』に続く『超時空シリーズ』の第3作目にして、最終作でもある。のちに『超時空要塞マクロス』『機甲創世記モスピーダ』と共に海外で『ロボテック』という1つの大河作品として編集、放映された。
物語の舞台は、環境汚染で地球に住めなくなった人類が宇宙へ進出した未来。惑星リベルテを新たな母星とした人類は、惑星グロリエのテラフォーミングに着手した。だがその矢先、正体不明の異星人ゾルが現れる。ゾル人は「自分達は惑星グロリエの先住民である」と宣戦布告、惑星グロリエを守護するサザンクロス軍は惑星リベルテからの満足な支援を受けられないまま戦いに突入することになる。サザンクロス軍に所属する3人の女性軍人ジャンヌ、マリー、ラーナをメインに、惑星グロリエに咲く「生命の花」やゾル人の謎が少しずつ明らかになり、ジャンヌと謎の青年サイフリート、ゾル人の少女ムジカとジャンヌの部下ボウイの恋愛模様も絡んでいく。

『超時空騎団サザンクロス』のあらすじ・ストーリー

お転婆軍人ジャンヌ

環境汚染が進んだことで、人類が地球に住みづらくなっていった21世紀末。新天地を求めて地球を離れた人類は、惑星リベルテを人類の新たな母星とする。リベルテと同じ星系にある惑星グロリエは、植民地開拓が進んでいる最中で厳しい環境も多いものの少しずつ人類が住めるようになっていった。
惑星グロリエの警備と守備を担う開拓惑星軍「サザンクロス軍」に所属するジャンヌ・フランセーズは、軍規を破っては営倉入りを食らうのが日常茶飯事。同期の軍人であるマリー・アンジェルにからかわれたり、生真面目で軍人気質なラーナ・イザヴィアと度々衝突したりしていた。ある日、惑星グロリエの上空に「ゾル人」という謎の異星人の戦艦が出現する。サザンクロス軍は母星である惑星リベルテとの交信をゾル人によって絶たれてしまい、援助を受けられないままゾル人との戦いを余儀なくされる。サザンクロス軍は、ゾル人の正体を突き止めるべくゾル戦艦に攻撃を仕掛けるが、ゾル人の攻撃機によって次々と倒されていってしまう。さらに攻撃機の中から戦闘用ロボットである赤いバイオロイド率いるゾルの兵士達が現れ、都市を襲撃する。マリーが所属する宇宙機甲隊が迎え撃つも、苦戦を強いられてしまう。宇宙基地が破壊されるのを見たジャンヌは、待機命令を無視して出撃する。一方赤いバイオロイドと交戦するマリーだったが操縦するメカ「ローガン」を破壊され危機に陥るも、現れた第15分隊によって助けられる。第15分隊とゾルの兵士達は戦闘に突入するが、第15分隊の連携プレーで退けることに成功した。サザンクロス軍のピンチを救ったジャンヌは、この一件がきっかけで念願の少尉に就任する。

謎の異星人ゾル

ある夜市街地をパトロールしていたジャンヌと部下のボウイは、ゾルの基地を発見する。物陰から密かに様子を伺っていた2人だが、ゾル人に見つかってしまう。2人は慌てて逃げ出すが、ゾル人のバイオロイド達が追ってくる。ジャンヌは応戦するが、ボウイが赤いバイオロイドに捕まってしまった。ボウイを捕らわれてしまったジャンヌは、「自身を行かせてほしい」と彼の実父であるロルフにお願いするが命令を出すまで待機するよう言われてしまう。しかしジャンヌは再び命令に背き、第15分隊のメンバーと共にボウイの救出へ向かう。メンバーのサポートを受けて基地に乗り込むジャンヌだったが、彼女の前に赤いバイオロイドに乗った青年が立ちはだかる。ジャンヌは戦略機甲隊が所有するメカ「スパルタス」を操縦してバイオロイドと交戦し、苦戦を強いられるも何とかボウイを救出した。そしてジャンヌ達第15分隊の活躍で、ゾルの戦艦を地上に撃墜することに成功する。この活躍を見た上層部は、ゾル人の情報を掴むため第15分隊にゾルの戦艦への偵察を命令する。第15分隊はバイオロイド達と交戦しながらも何とか艦内へ侵入したが、ゾル人に行動を見られており逆に艦内に閉じ込められてしまった。艦内を徒歩で偵察する中、ボウイは壁に触れた途端別の場所へ飛ばされてしまう。そこへ、不思議な楽器の音色が聞こえてくる。音色に導かれるままボウイが向かうと、ハープに似た楽器を演奏する少女ムジカがいた。ボウイはムジカに色々話しかけるが、言葉が通じないようだった。しかし音楽が好きなボウイは彼女の演奏するハープに興味を持ち、ムジカもボウイに弾き方を教え少しずつ打ち解けていく。そこへゾル人の兵が現れ、ボウイは応戦して倒すがムジカは怯えて逃げ出してしまった。ムジカを追いかけるボウイだったが見失ってしまい、代わりにジャンヌ達と再会する。そのまま艦内を回る中大勢のゾル人達と遭遇したジャンヌ達は、同じ顔を持つ人間が3人もいることに驚きを浮かべる。ゾル人の攻撃を受けたジャンヌ達は、犠牲を払いながらも何とかバイオロイドの捕獲に成功して脱出した。
ゾル人達も争い事は望んでいなかったが、サザンクロス軍との戦いが激化していく中武力で対抗することを決意する。そこでグロリエに住む一般市民を誘拐し、洗脳してバイオロイドのパイロットとして改造していく。一方ジャンヌはバイオロイドのパイロット達が自分達と同じ「人類」ではないのかと気づき、彼らとの戦いに苦悩するようになる。

ジャンヌと謎の青年サイフリート

ジャンヌ達第15分隊とバイオロイド達の戦闘が行われた場所を訪れたラーナは、そこで怪我を負った青年サイフリートを発見する。サイフリートはそのまま軍の病院に運ばれ、ゾル人について調べるべくロルフはラーナ達憲兵隊に彼の身柄の保護を依頼する。ロルフ達は未だ気づいていなかったが、実はサイフリートを通してゾル側にサザンクロス軍の情報が伝わるよう細胞に発信機能が内蔵されていた。サイフリートについて色々調査が行われるが、彼は記憶喪失になっており成果は上がらずにいた。
一方バイオロイドとの戦闘で負傷したマリーを心配して連日お見舞いに来ていた第15分隊のメンバーであるシャルルは、病院内の重々しい雰囲気を感じ取りこっそり調べたところサイフリートの存在に気づく。そのことをシャルルから聞いたジャンヌは、サイフリートに会いに行くことを決意する。厳重な警備を突破するために第15分隊は変装して彼の元へ向かう。サイフリートを見たジャンヌは彼が赤いバイオロイドのパイロットであることに気づき、部下を失った怒りから彼を問い詰める。そこでボウイが口笛でムジカから教わった曲を耳にしたサイフリートは、彼女から「グロリエがゾル人の故郷」という話を聞いたことを思い出す。ゾル人がグロリエの元住民であることにジャンヌも驚く。サイフリートの記憶を取り戻すため、ロルフは彼を第15分隊に配属させた。サイフリートも自身の記憶を取り戻そうと色々資料を漁るが、ゾルにいた頃の記憶がフラッシュバックし、自身の失われた記憶に振り回され自暴自棄に陥ってしまう。ジャンヌはサイフリートを気遣い、気晴らしにボウイも誘って郊外へドライブに出かける。その郊外で、3人は奇妙な洞窟を見つけた。洞窟を探索する中、3人は奇妙な形をした花「生命の花(いのちのはな)」が咲く場所にたどり着く。その花を見たサイフリートは、ゾルにいた頃に「生命の花」を見かけたことやゾル人が3人1組で行動していたことを思いだした。一方怪我から復帰したマリーはゾル艦との戦闘任務を受け、新メカ「オーロラン」を駆り戦艦内部に突入する。そこで3人1組で行動するゾル人の兵士達を目の当たりにしたマリーは、「ゾル人は3人1組で行動していた」というジャンヌの証言通りだったことを知る。発信機能を通してサイフリートの様子を監視していたゾル人達だったが、彼の感情や記憶が蘇りつつあることを危惧していた。その頃ムジカは上層部が決めた許嫁の青年ファイダ達の求婚を断り、彼らを困惑させる。ムジカにはゾル人が失った感情が蘇りつつあった。

ボウイとムジカの恋

ゾル人はサザンクロス軍への対策で新たなバイオロイドを作成していた。一方、ロルフは自身を失脚させようとする最高総司令官クロード・レオンの陰謀で「第三次攻撃隊」の指揮官に任命される。そして、ジャンヌ達第15分隊もゾル艦の出撃を命ぜられる。宇宙空間でサザンクロス軍とゾル人達による激しい戦闘が繰り広げられ、第15分隊は何とかゾル艦に再突入した。これを見た指揮官のデス達は、サイフリートの記憶にショックを与える。ショックを与えられたサイフリートはジャンヌ達を裏切り、バイオロイドのパイロットに戻ってしまう。ゾル艦に再び潜入した第15分隊だったが、正体がバレてしまい艦内で逃亡を図るうちメンバーはバラバラになってしまった。第15分隊の突撃を聞いたムジカはボウイを探しに飛び出す。第15分隊のメンバーであるルーイと共に艦内を回っていたボウイは、遂にムジカと再会を果たす。だが、第15分隊は追い詰められ全員囚われてしまう。一方ゾル人に与えられた記憶に葛藤していたサイフリートは逃げ出し、艦内を彷徨う中ムジカに助けられる。ボウイを案ずるムジカは、彼への想いからサイフリートと第15分隊を助けることを決意する。だがそれは、同胞を裏切ることを意味していた。ムジカ、サイフリートの2人と再会した第15分隊は艦内から脱出する。第15分隊と共にグロリエに来たムジカだったが、ゾル人である彼女を上層部は放っておかないだろうと第15分隊は彼女の存在を隠すことにした。しかし、ムジカの存在に疑いを持ったラーナは密かに第15分隊を監視する。ムジカを匿う第15分隊だったが、サイフリートが彼女の存在をラーナに密告してしまう。ムジカを連れて軍から脱走したボウイは、ムジカの歌うゾルの歌に出てきた「生命の花」が咲く洞窟の遺跡へ向かうのだった。そして、洞窟にたどり着いたボウイとムジカが見たのは、次々と開花していく「生命の花」だった。「生命の花」を見たサイフリートは、「生命の花」のエネルギーを利用して洗脳されたことを思い出す。ボウイは、「生命の花」こそがゾル人の命の源ではないかと気づく。ボウイとムジカの姿を見たラーナは自身の職務に葛藤するが、最終的に2人を見逃すのだった。
一方「生命の花」のエネルギーが枯渇する影響で、若い世代に個人としての感情が芽生えつつあった。これを問題視したデス達は、グロリエで花の開花時期が迫りつつあることから惑星奪還を急ごうとする。そして、サザンクロス軍とゾル人のグロリエを巡る戦いが幕を開ける。グロリエにゾル人達が降下し、地上でも激しい戦いが繰り広げられる。ロルフ、マリー、デニスはデス達に囚われてしまいジャンヌ達は3人の救出に乗り出す。しかし、ロルフはボウイを敵から庇い命を落としてしまう。サイフリートは自分を利用したゾル人への復讐からジャンヌと共にデス達の許へ乗り込み、彼らを射殺した。そして、サイフリートはジャンヌを逃すとゾル艦を爆発させ命を落とす。その影響で「生命の花」が一斉にグロリエの空を飛び散って行くのだった。

『超時空騎団サザンクロス』の登場人物・キャラクター

主要人物

ジャンヌ・フランセーズ

CV:富沢美智恵
本作の主人公。戦略機甲隊第15分隊の女性隊長。年齢は17歳。第2話で少尉に昇格したことで、第15分隊の小隊長に就任する。マリー、ラーナとは同期。惑星グロリエの出身で、故郷には弟がいる。名前の由来は「ジャンヌ・ダルク」から。
明るくお転婆で、おしゃれには結構うるさい性格。シャワーを浴びるのが好き。軍人としてはお世辞にも素行が良いとは言い難く、規則を破っては営倉に入れられるのは日常茶飯事。真面目で規則を重視するラーナとはよく衝突している。だが、持ち前の行動力と勇敢な性格、常識にとらわれない発想で窮地を救うことも多い。記憶喪失の青年サイフリートと惹かれあっていくようになる。

マリー・アンジェル

CV:水倉久美子
宇宙機甲隊所属。階級は少尉。ジャンヌ、ラーナとは同期。年齢は19歳。
姉御肌かつ男勝りな性格で、「コスモ・アマゾネス」という異名を持つ。戦闘面に優れ、軍人としても優秀。ジャンヌ率いる戦略機甲隊第15分隊に所属するシャルルとはバイオロイドとの戦いで負傷したところを救出され、怪我での入院がきっかけにお互いを意識するようになる。ジャンヌを馬鹿にすることも多いが、共同戦線を張った際怖気つく彼女を叱咤するなど厳しくも優しい一面を見せる。

ラーナ・イザヴィア

CV:土井美加
グロリエ惑星軍憲兵隊所属。階級は少尉。マリー、ジャンヌとは同期。年齢は18歳。
生真面目な性格で規則や任務を重視する性格。しょっちゅう規則を破るジャンヌのことをよく思っておらず、しばしば彼女と衝突している。だが記憶喪失になったサイフリートを気にかけてアドバイスする優しさも持ち合わせている。負傷したサイフリートを発見、グロリエ軍に保護した。後に宇宙機甲隊に所属するデニス・ブラウン中尉と親しくなる。ジャンヌやマリーと違い前線に出ないため、OPで披露していたパワードスーツのアーミング・ダブレットを装着したのは第22話のみ。

戦略機甲隊第15分隊のメンバー

ボウイ・エマーソン

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