レッドブルー(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『レッドブルー』とは2022年より波切敦(なみきりあつし)が『週刊少年サンデー』で連載を開始した漫画。「ネクラ」と呼ばれ、いじめられる高校生、鈴木青葉(すずきあおば)がクラスのヒーローであり、16歳で総合格闘技MMAの全国チャンピンになった赤沢拳心(あかさわけんしん)に助けられ、総合格闘技の魅力を知る。しかし鈴木の総合格闘技を始めた理由は「赤沢を1発ぶん殴ること」。根暗で自分の意志を伝えるのが苦手な鈴木が総合格闘技を通じて言葉ではなく、格闘技という変わった方法で意志を伝えていく様が描かれる。

『レッドブルー』の概要

『レッドブルー』とは2022年より波切敦(なみきりあつし)が『週刊少年サンデー』で連載を開始した漫画。「ネクラ」と呼ばれ、いじめられる高校生、鈴木青葉(すずきあおば)がクラスのヒーロー的存在であり、16歳で総合格闘技MMAの全国チャンピンになった赤沢拳心(あかさわけんしん)に助けられ、総合格闘技の魅力を知る。しかし鈴木の総合格闘技を始めた理由は「赤沢を1発ぶん殴ること」。根暗で自分の意志を伝えるのが苦手な鈴木が総合格闘技を通じて言葉ではなく、格闘技という変わった方法で意志を伝えていく様が描かれる。主人公が明るいタイプではなく、根暗で控えめなタイプ。根暗と総合格闘技を組み合わせたスポーツ漫画の常識を覆す設定に注目が集まる。

『レッドブルー』のあらすじ・ストーリー

スーパールーキー

テレビ番組『スター怪童』では高校1年で格闘技界に進出し、U-18の総合格闘技全国大会で優勝したスーパールーキー、赤沢拳心(あかさわけんしん)の特集が組まれていた。翌日、赤沢の通っている高校では、赤沢の話題でクラスメイトが盛り上がっていた。時を同じくして、「ネクラ」と呼ばれている少年がクラスの不良3人に体育館裏へ連れてかれていく。そこでは不良の1人がネクラを殴りまくっていた。ネクラを殴りまくっている金色の短髪の不良は岩瀬三之助(いわせさんのすけ)という。ネクラが殴られていると、そこに赤沢が現れ、「シャークジムの岩瀬」だろと言って、殴っているところを止めに入った。岩瀬がいじめていたわけではない様子を見せると、赤沢はボディーに1発パンチを入れた。赤沢よりひとまわりもでかい岩瀬はそのパンチを受けると倒れ込んでしまう。岩瀬をおいて赤沢はネクラを別の場所に連れていき、ネクラに名前を尋ねた。ネクラは自分の名前を「鈴木青葉」と名乗る。赤沢が鈴木の名前を聞くと、小学校でずっと同じクラスだったクラスメイトだということに気づく。いつも元気で明るくクラスの中心にいた赤沢に対して、鈴木は喘息持ちであまり学校にいけず、クラスからは浮いた存在だったのである。会話の話題は小学校の時の自己紹介で語った夢の話になった。小学校の頃から「世界チャンピオンになる」と語っていた赤沢に対して、「将来の夢はない」と答え、今も夢がないことを伝えると、赤沢は鈴木に対して「夢は絶対にもったほうがいい」と答えた。たわいもない会話を終えると、またいじめられないようにと赤沢が鈴木に正拳突きのやり方を指導し始める。すると鈴木は心の中で「やっぱり赤沢のことが昔から嫌い」だとつぶやく。ポジティブな世界にいた赤沢に対して劣等感、嫉妬があったのである。そんなことは知らない赤沢が鈴木を自分のいるジムに誘った。そこで鈴木のこれまでの怒りが爆発し、無意識のうちに赤沢を殴ろうとし、それに反応した赤沢がカウンターパンチをくらわせてしまったのである。殴ってしまったことを謝罪する赤沢に対して、鈴木は今まで赤沢のことが嫌いだったことを伝える。ショックを受ける赤沢であったが、同時に鈴木に「赤沢のことを殴る」という夢が見つかったことを鈴木に伝えた。

赤沢大嫌い同盟

翌日、クラスでは赤沢が日本最大の総合格闘技の大会「BOOST(ブースト)」に出場することと、昨日岩瀬が赤沢に1発でやられたことで盛り上がっていた。陰口を聞いた岩瀬はクラスメイトを睨みつける。そこに鈴木が現れ、「今日は体育館裏にいかないのか」と尋ねる。驚きを隠せない岩瀬は鈴木を屋上に連れていく。今後いじめないことを誓うと、鈴木は岩瀬に格闘技を教えてほしいということをお願いした。赤沢に劣等感を感じていることを見抜かれ、それを理由に赤沢を嫌い同士協力してほしいと鈴木に提案される岩瀬。焦った岩瀬は鈴木に殴りかかろうとするもののかわされ、蹴りをくらわせようとしてもかわされた。鈴木は痛いのがいやだからこそ、岩瀬の攻撃パターンをメモに書き起こしていたのである。鈴木の提案を厄介そうに思った岩瀬はその場を後にしようとすると、鈴木が懐いたかのように岩瀬の後を追う。ゲームセンターに向かった岩瀬の後を追い、鈴木もゲームセンターに入った。そして2人がゲームセンターを出ようとすると、入り口に爆音でバイクをふかす不良がいた。岩瀬はうるさいと思いながら黙っていると、鈴木がうるさいということを口に出してしまうのである。すると不良たちが岩瀬たちに絡んでくる。今まで自分の意志を伝える方法がなかった鈴木が、暴力でも意志を通せることを知り、不良たちに立ち向かおうとした。そんなイカれた考え方をした鈴木を見て、岩瀬は不良たちをボコボコにし、鈴木をジムに連れていくことを決意したのである。

シャークジム入会

翌日、岩瀬は鈴木を自分の通っているシャークジムというジムに案内する。雑居ビルの地下にあるシャークジムに入ると、誰も人がおらず閑散としていた。そんなジムの中に酔い潰れた長髪の男が寝転んでいた。その男は、時和金成(ときわかねなり)といい、シャークジムの経営者である。まだ新人の練習時間であるのに閑散としている理由を岩瀬が尋ねると、時和は「スパーで軽くボコしたらやめちゃった」と照れながら答えた。その後、鈴木が入会する理由を尋ねると「拳心君を1発ぶん殴りたい」と語り、時和にスイッチが入る。時和はでかい夢を語る人が大嫌いなようで鈴木をリングに上がらせるのであった。鈴木と時和による2分間のスパーが始まると、時和はジャブで様子を見ようとする。そのジャブを難なくかわす鈴木。かわされた時和は戦略を変え、鈴木の腕を掴み投げ倒す。そして上に乗っかり殴りかかる。有利を取られながらも、どこかに勝機を見つけようとする鈴木を見た時和は鈴木の意志を感じ取った。鈴木も総合格闘技の奥深さを知り、入会の申込書に書き殴るように自分の名前を記入し、シャークジムへの入会が決定したのであった。

晴天道場VSシャークジム

鈴木の入会が決定するやいなや、時和は鈴木に赤沢の所属する晴天道場との交流戦があり、その交流戦に出場することを提案した。なかなか機会のない真剣勝負ができるとあって鈴木はその提案を了承する。対戦相手の情報を確認すると鈴木の中学の頃の同級生であった玉松光太(たままつこうた)であることを知った。それから1週間後、晴天道場との交流戦当日。晴天道場につくと、赤沢を取材するためにテレビ局の人たちが訪れていることを知る。晴天道場につくまでそのことを知らされていなかった時和はイラついた様子を見せ、交流戦に出場するメンバーに絶対に勝つように念を押した。交流戦が始まると、初戦を務める鈴木と玉松がリングに上がり試合が始まった。開始早々、玉松はパンチを連続で繰り出していく。その攻撃を必死にガードしていく鈴木。ガードが緩んだところに玉松がアッパーを繰り出し、鈴木の顎を捉えた。一旦膝をついた鈴木だったが、膝をつきながら玉松の顎に向かってストレートを繰り出し応戦していく。玉松はそこから寝技に切り替え、タックルで鈴木の体を薙ぎ倒した。大きく振りかぶりパンチをしようとする玉松への対策として岩瀬が鈴木に「体にくっつけ」と指示を出した。鈴木はその指示通りに動き、なんとか攻撃を回避。鈴木がシャークジムに入会して1週間しかなかったため、寝技からの回避方法を練習する時間がなかったが、岩瀬に一度だけ教えてもらった回避方法を必死にノートにまとめまくった鈴木は岩瀬の教え通り忠実に寝技から回避していく。玉松が寝技を繰り出し、それを鈴木が回避する、その流れを何度か繰り返すと鈴木のスタミナが切れてしまい、岩瀬が試合終了を合図する白いタオルをリングに投げ試合は玉松の勝利で終わったのである。

時和VS赤沢

3対3の交流戦が終了し、晴天道場の全勝で終わると取材に来ていたテレビ局が「収録の時間が足りないので何か他にないか」と伝えるとそれを見かねた赤沢が時和に5分間のスパーを提案する。時和はその提案に了承しようとするが、シャークジムのメンバーがそれを止めにかかる。時和は試合前に必ず相手を煽ってしまう生粋のヒールであり、テレビに本性がうつされ、ジムの評判を落とすことを懸念していたのである。渋々シャークジムのメンバーが了承し、スパーが開始した。開始すると時和はガードの体制を取らず、脱力した状態で赤沢と対峙する。ガードをすると手が邪魔になり、相手が見えづらくなるという理由からである。ノーガードで戦うことにより、いろんな軌道で攻撃を繰り出す時和に対し、赤沢は戸惑った様子を見せた。しかし物の数分で時和の癖を読み、カウンターを仕掛けていく。パンチへの順応を確認した時和は攻撃を変え、パンチと見せかけて赤沢の体を掴み投げで赤沢を倒そうとした。しかし赤沢は姿勢を低くしなんとか踏ん張りキープする。赤沢は天性の打撃センスを持ち、それを活かすために絶対に倒されないように足腰を磨いていたのである。それの光景を目の当たりにした鈴木はにやっと笑い、倒されるのがいやだという赤沢の弱みを握ったのであった。鈴木は自分が磨くべきものは寝技であると確信する。5分のスパーが終了し、時和と赤沢は握手をかわした。

寝技の特訓

交流戦を終えシャークジムに帰ってくると時和は鈴木に対して「赤沢を倒すためにはまず同じ舞台に上がるため、高校生のプロへの登竜門、MMA甲子園を優勝することが必要」だと告げた。それからは大会に向けたトレーニングが始まった。格闘技を始めるまでは運動をしてこなかった鈴木は基礎トレーニングで音を上げてしまう。基礎トレーニングが終わると、寝技、組み技の練習に入る。練習に入る前にブツブツと会社の愚痴を吐き出すサラリーマン、雨地渉(あまちわたる)がジムにやってきた。岩瀬曰く、雨地がいる日は寝技、組み技の練習が地獄になるという。寝技の練習は初めてのため、見学をしているように言われた鈴木は岩瀬と雨地の練習を見学する。岩瀬とのスパーを見学した鈴木は、いてもたってもいられず雨地にスパーをお願いした。スパーが始まると5分間の間に15回もタップし、あまりの手応えのなさに鈴木はもっと練習をするようにと雨地に叱られる。ジムの中の経験者は実力者ばかりで、防御で手一杯になるため、自分と実力の似た練習相手がいないかと悩む鈴木。そこに晴天道場の玉松が現れ、晴天道場は自分に合わないため、シャークジムへの入会を希望したのだ。鈴木は格闘技歴が自分とあまり差がない玉松を練習相手にすることで学んだことを実践していくのであった。

寝技覚醒

玉松とのスパーを始めたことで頭で考えるよりも先に行動に移せるようになってきた鈴木は雨地にスパーの対戦相手をお願いした。自分の練習にあまりならないと思っている雨地は渋々、そのお願いを受け入れた。スパーが始まると、雨地は異変を感じ取った。今までは攻防が一歩出遅れていた鈴木の行動が滑らかになっていたのである。スムーズな動きで三角締めに持っていく鈴木。寝技に長けた雨地は三角締めが入る前に手を滑り込ませ、窮地を脱する。スパーが終了し、結局一本も取れなかった鈴木だったが、動きの感覚をつかむことできた。その後、岩瀬とスパーをし、初めて寝技で一本を取ることに成功したのである。夢に向かってキラキラしている若者がシャークジムに増え、雨地は居心地が悪くなり、ジムをやめようとしていた。それを鈴木が察知した。雨地は才能があったが、家族を守るという選択を取り、プロを諦めたことで未練が強く、夢を追いかける人たちが気に食わなかったのである。鈴木はそんな雨地を煽るように、「次の一本取れたら、寝技を教えてください」と発言した。雨地はその提案に対し、「一本取れなかったらジムをやめてくれるかい」と挑発で返す。鈴木は得意の行動観察で雨地の行動を逐一メモに書き起こし、あえてセオリーから外れた行動を取り、雨地を罠にかけた。見事、鈴木はその寝技で雨地から一本をとったのである。雨地はスパーが終わると駄々をこね、鈴木への指導を拒否しようとする。そこで鈴木は「自分が赤沢を倒したいのは、嫌いだから」ということを伝えると意気投合し、雨地は寝技指導に協力することになったのである。

『レッドブルー』の登場人物・キャラクター

主人公

鈴木青葉(すずき あおば)

この物語の主人公。クラスでは目立つタイプではなく、自分の意志を言葉にすることを苦手とする。クラスメイトの岩瀬から「ネクラ」と呼ばれていた。総合格闘技のスーパースター、赤沢に出会うことで総合格闘技を始めることになった。格闘技を通じて意志を示すことを練習していき、言葉でも意志を伝えられるようになったが、相手を傷つけるような裏表のない毒舌がでがち。

シャークジム

岩瀬三之助(いわせ さんのすけ)

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