ピアノの森(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』とは、『ヤングマガジンアッパーズ』で連載が開始された一色まことの青年漫画である。2018年にはアニメの第1シリーズが、2019年には第2シリーズが放送された。
森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公・一ノ瀬海。彼はかつて天才ピアニストと呼ばれた阿字野壮介や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平との運命的な出会いを経て、世界的なピアノコンクールであるショパンコンクールに挑んでいく。

『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の概要

『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』は、1998年から2015年にかけて『ヤングマガジンアッパーズ』や『モーニング』で連載された一色まことの青年漫画。単行本は全26巻。2018年4月からはガイナックススタジオ制作でアニメの第1シリーズが放送開始された。2019年1月からは第2シリーズが放送された。アニメの監督はこの作品が日本でのTVシリーズ初監督となる中谷学。エンディングテーマは悠木碧の「帰る場所があるということ」。その他、2007年には上戸彩主演でアニメーション映画化された。

森に捨てられた1台のグランドピアノ。このピアノをおもちゃ代わりにして育った主人公一ノ瀬海(いちのせ かい)。
母1人子1人、ピアノなんて買えない、習い事にかけるお金もない。そんな境遇にありながらも、彼はかつて天才ピアニストと呼ばれながら事故でピアニスト生命を失った阿字野壮介(あじの そうすけ)や、偉大なピアニストの父を持つ雨宮修平(あまみや しゅうへい)との運命的な出会いを経て、世界的なピアノコンクールであるショパンコンクールに挑んでいく。

ピアノ演奏時の指遣いはモーションキャプチャーを使用し、本物のピアニストの指遣いを再現。各キャラクターごとにモデルとなるピアニスト(メインピアニスト)が違うという細やかな演出がなされている。なお一ノ瀬海のメインピアニストは非公表とのこと。

『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』のあらすじ・ストーリー

森のピアノ

小学校5年生のある日、海のクラスに東京から雨宮修平が転校してくる。4歳からピアノを始めた修平の目標は、父のようなピアニストになること。そんな修平にクラスのガキ大将・金平(通称きんぴら)は、「ピアノだってよ、男のくせに」と言い、男子の仲間に入れて欲しければ森にあるという「おばけピアノ」を弾いてこいと難癖をつける。「おばけピアノ」とは森に放置された古いピアノのことだ。近くで死体が見つかり、その亡霊が夜な夜な現れてピアノを弾いているらしいという噂がある。以前きんぴらたちが肝試しした時は、音が出なかった。
無理難題を言うきんぴらとその仲間達に困り果てていると、叩きつけるようなピアノの音が鳴り響いた。「森のピアノは壊れてなんかいない。ちゃんと音もでる」と海が言うが「でまかせ言うな」ときんぴらは返す。そこから2人の殴り合いの喧嘩に発展した。クラスメイトは「いつものことだから」と喧嘩を放置し、音楽教師の阿字野が止めに入りようやく収まった。だが、その阿字野も「そんな壊れたピアノの音が出るはずない」と言い、生徒たちを帰宅させる。
その後で、1人ピアノの下で泣く海を落ち着かせるため、阿字野はピアノを弾き始めた。ジャズのスタンダードとして知られる「茶色の小瓶」を阿字野がオリジナルにアレンジしたものだった。だが突然曲の途中で打ち切ると海にも帰るよう促す。それとも続きが聞きたいかと尋ねる阿字野に海は「そんな下手くそなピアノ、聞きたくない」と言い、音を外した回数、場所を指摘した。

選ばれた手

修平は学校での出来事を母親には言い出せずにいた。翌日の登校中、海に出会った修平は喧嘩させたことを謝り、かばってくれた礼をいう。そしてこのままでは何も解決しないだろうという海に誘われるまま学校をさぼり、森へと向かう。手を怪我するわけにいかないからと手袋をする修平を連れ、森の奥へと進む海。すると鬱蒼とした茂みの中に、1台のグランドピアノがあった。喜び勇んでピアノに触れる修平であるが、いくら鍵盤を叩いても音が出ない。やはり壊れていると海に訴えるが、代わって海が弾き始めるとちゃんと音が出た。「俺のピアノだから、俺にしか心開かないんだよ」との海の言葉に疑問を持ちつつも、二人は学校に戻ることにした。

森のピアノを弾いてきたと告げる修平だが、きんぴらは信用しない。海が証人だとなおも言い募る修平に対し、海では証人にならないという。そして母親の悪口を言われた海がきんぴらに殴りかかり、またもや取っ組み合いの喧嘩になってしまう。クラスの女子たちが職員室に担任を呼びに行くが、教師たちの間でも海が片親であること、住んでいる「森の端」が歓楽街で治安状態が悪いこと、母親の職業が水商売であることについて陰口が叩かれていた。

きんぴらたちにズボンを脱がされ、屈辱的な思いをさせられた修平は、再び森のピアノのもとに向かう。するとピアノを覆う大樹の上に海がいた。「この上が俺んち。遊びに来いよ」という言葉に人生初めて木登りをする修平。やっとの思いで登り切ると隣接する建物の窓が開き、海の母、怜子(れいこ)が現れる。怜子に擦りむいた膝小僧を手当てしてもらった後、海に送ってもらい帰路につく修平は彼を自宅に招く。レッスン室まで完備した修平の自宅であるが、そのピアノの鍵盤は軽すぎて、普通に弾いても音量が抑えきれない。あまりの音量に苦情を言いに来た修平の母親であったが、2人が音楽教師の阿字野の話をするとそんなことはすっかり忘れ、古いスクラップブックを持ち出してくる。

元音大生の彼女の話では阿字野は日本を代表するピアニストであったが、交通事故により左腕を負傷し、自身のピアニスト生命と婚約者をも失ったということであった。これ幸いと母親は修平の個人レッスンを阿字野に頼みに行くが、すげなく断られてしまった。放課後、修平は森で海がピアノを弾いてみせた話を阿字野にする。
その話に動揺をみせる阿字野。実は森のピアノは怪我をしてピアノが弾けなくなった阿字野が捨てたものであり、彼用に調整されたものであった。自分以外に弾けるはずのないピアノ。その音色が再び聞けるなら、と夜の森に向かう阿字野。その森で彼が聞いたのは確かに自分のピアノの音であり、自身がアレンジした「茶色の小瓶」のメロディだった。さらに歩みを進めるとそのピアノを弾いているのは海であった。阿字野は思わず海の左手を掴み、「この手は、選ばれた手だ」とつぶやいた。

目標はショパンピアノ国際コンクール

森のピアノがきっかけで、海は成り行きでコンクールに出場することになった。そこで熱狂的な演奏を披露するも、コンクールの趣旨には合わずに落選してしまう。このコンクールで海は人前でピアノを披露することに快感を覚えるが、森のピアノが落雷により焼失してしまったことで失意に暮れる。だがホコ天ライブで再度ピアノに触れたことでピアノへの情熱を取り戻すと、阿字野に弟子入りを志願した。2人は「師弟関係は6年後のショパンピアノ国際コンクールまで」という約束をして、二人三脚でコンクールを目指し、修平のライバルへと成長していく。

『ピアノの森 -The perfect world of KAI-』の登場人物・キャラクター

一ノ瀬 海(いちのせ かい)

CV:斉藤 壮馬/白石 涼子(小学生時代)
本作の主人公。母親の怜子と2人、高架下の歓楽街である「森の端」で暮らしている。父親は不明。森に捨てられたピアノをおもちゃ代わりに育った。小学生の時に転校してきたピアニスト志望の雨宮修平や元天才ピアニストの音楽教師、阿字野壮介と出会いやがて世界的に有名なショパンコンクールに挑んでいく。

阿字野 壮介(あじの そうすけ)

CV:諏訪部 順一
小学校の音楽教師。かつては日本を代表するピアニストであったが、事故で左手を負傷。ピアニスト生命と婚約者を失う。学校で自身がアレンジした「茶色の小瓶」を演奏したところ、海に的確にミスを指摘され、その才能に気づく。

雨宮 修平(あまみや しゅうへい)

CV:花江 夏樹/大地 葉(小学校時代)
海の小学校に転校してきた。父は有名なピアニストであり、4歳からピアノの英才教育を受けている。海とともに「おばけピアノ」を弾いてみるも、音を出すことができなかった。

一ノ瀬 怜子(いちのせ れいこ)

CV:坂本 真綾
海の母親。シングルマザー。若くして海を産む。いわゆる「インバイ」と言われる仕事をしている。

金平 大学(かねひら だいがく)

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