名探偵コナン ハロウィンの花嫁

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名探偵コナン ハロウィンの花嫁
9

キャラクターの魅力や新たな試みが存分に活かされた、万人向けサスペンスアクションの傑作

毎年大ヒットしている『劇場版名探偵コナン』シリーズの25作目。
おなじみの主人公「江戸川コナン」と、人気のキャラクターである私立探偵、黒の組織の幹部、公安警察のスパイという3つの顔を持った「安室透」(本名「降谷零」)が、渋谷のハロウィンを舞台に謎の連続爆破犯「プラーミャ」を追うというストーリーです。

毎年キーパーソンとなるキャラクターが発表されていますが、本作は人気キャラの安室だけではなく、安室の警察学校時代の同期4人がキーパーソンです。
警察学校同期の彼らが過去の事件でプラーミャと対峙する際の、息ぴったりのやりとりと、圧巻のアクションシーンは全員にそれぞれ違ったかっこよさがありました。
1人は既に亡くなっていましたが、最後まで観ると本当に「5人」全員がかっこいいシーンになっている意味がわかります。
それに気づいた時の感動も、この作品の良さの1つです。

同期4人のうち注目したいのが「松田陣平」と「萩原研二」。今作はこの2人が犠牲となった爆破事件をきっかけに話が展開していきます。
特に松田と同僚だった刑事「佐藤美和子」の心情の移り変わりにも注目。

かつての想い人であった松田を過去に爆破事件で失くした彼女に対し、現在同じような爆破事件と対峙し心揺れる彼女に、今の想い人「高木渉」がどのように応えていくのか。恋愛要素も重厚なストーリーとなっています。

さらに本作から作中の音楽担当が、大野克夫氏から『大河ドラマ 軍師官兵衛』などで知られる菅野祐悟氏に初めてバトンタッチ。
菅野氏のテイストが盛り込まれたスタイリッシュなアレンジのメインテーマをはじめ、今までの『コナン』にはない、実写ドラマのような緊迫感のあるテイストのBGMに仕上がりました。
息つく暇もなくストーリーへのめり込むことができます。

サスペンス、アクション、ラブストーリーだけでなく、主役をはじめゲストキャラクター、犯人の心境にも細かく焦点を置いた脚本にハラハラしたり、時にはうるっときてしまうことも。
シリーズ前作の『緋色の弾丸』では興行収入があまり伸びずいまいちな結果でしたが、本作はキャラクターの魅力と音楽担当の変更という新たな試みのおかげもあって、公開当時のシリーズ最高興行収入を更新しました。

ミステリーとしては少しわかりやすすぎる部分もあります。なので本格的なミステリーやサスペンスを楽しみたい人よりも、「ミステリーやサスペンスものはあんまりだけど、面白いサスペンスストーリーが見てみたい!」という方はとても楽しめる映画になっています!