働かないふたり

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働かないふたり
10

働いていないニートから人生の大切なことを教われる

この漫画の主人公はふたりの若い兄妹。どちらもニート。おちゃらけてるが自分をしっかり持ってる兄と優柔不断だが心優しい妹の周りには気づいたら人がいっぱい。
私の好きなセリフを一部抜粋すると「誰にでもできることだからこそ、誰かの目に留まるのは難しい。ひとりでも買ってくれた人がいたならそれは凄いことですよ」。これは同人誌の即売会で自作の本が1冊しか売れなく、自身を失っている人に兄が言ったセリフだが、私は非常に感銘を受けた。本が1冊しか売れないというのは常識的に考えれば望ましいことではない。自己嫌悪に陥りたくなる気持ちの方がよく分かる。でも兄のこの発言で考え直した。みんな知らず知らずのうちに高望みをしてしまっているのかもしれない。高みを目指すことと謙虚に生きることは実は相反しない。自分の現状を把握し、自分で自分を褒めることは素直に素敵なことだ。
このように全ての人を肯定し、全ての人を勇気づけるようなセリフが多々ある。働かないことを肯定しているわけではないが、かと言って働いていることを無条件で美化していない。自分が必死に抱えているものが実はそんなに大切ではないと気が付いたとき、生きることがほんの少しだけ楽になるかもしれない。
これは毎日必死で働いている社会人にこそ読んでほしい漫画だ。