初めて恋をした日に読む話(はじこい)のネタバレ解説・考察まとめ

『初めて恋をした日に読む話』とは、2016年7月号から『Cookie』(集英社)で連載されている持田あきによる日本の漫画作品である。一時休載し、2024年3月より連載を再開している。予備校講師の春見順子が、東大受験失敗後の転落人生を乗り越える姿を描いた物語。TBSテレビ系でドラマ化もされ、原作とは異なるストーリー展開で全12話が放送された。物語の中では、順子が匡平に合格を目指させる一方、彼の真摯な姿勢に感化され、自身も再び夢と自信を取り戻していく姿が描かれている。

『初めて恋をした日に読む話』の概要

『初めて恋をした日に読む話』とは、2016年7月号から『Cookie』(集英社)で連載されている、日本の漫画作品だ。持田あきにより執筆されており、一時の休載を経て、2024年3月に連載を再開している。物語は、中学・高校時代は優等生でありながら、東大受験に失敗し転落人生を歩む予備校講師の春見順子(はるみじゅんこ)が、不良男子高校生の由利匡平(ゆりきょうへい)に東大合格への指導をきっかけに自己成長と再起を果たす姿を描いている。受験合格を目指す中、順子は、生徒の匡平、幼馴染でやり手商社マンの八雲雅志(やくも まさし)、学生時代、唯一告白をされた男性である山下一真(やましたかずま)の3人の男性から思いを寄せられることになる。鈍感な順子が戸惑いながらも自身の気持ちに向き合い、素直に生きることを選択していくラブコメディだ。
さらに、受験、恋愛がテーマとなり物語は進む中で、親子の関係性が描かれる。思春期の高校生とその親が、受験という大きな壁に向かう中で双方にぶつかり合い、親子の絆を深めていく場面も描写されているため、ラブコメディでありながらも、幅広い層に共感される内容だ。

2019年1月15日から同年3月19日まで、TBSテレビ系でテレビドラマ化され、深田恭子、横浜流星が受験に恋愛に奮闘する主人公たちを生き生きと演じた。原作は終了していないが、ドラマでは12話で完結しており、漫画とは異なったストーリー展開となっているが、十分楽しめる作品である。
ドラマの受賞歴としては、第100回ザテレビジョンドラマアカデミー賞において、深田恭子が主演女優賞を、横浜流星が助演男優賞を受賞、東京ドラマアウォード2019では横浜流星が助演男優賞を受賞、第29回TV LIFE 年間ドラマ大賞2019では横浜流星が新人賞を受賞している。
ドラマの主題歌となったback numberの『HAPPY BIRTHDAY』は、ドラマソング賞を受賞した。

『初めて恋をした日に読む話』のあらすじ・ストーリー

漫画版

難関大学への挑戦の始まり

匡平(左)の努力を知った順子(右)は、「東大合格」という目標に向け、彼をサポートしていく。

主人公は31歳の予備校講師・春見順子(はるみじゅんこ)。かつては成績優秀だったが、受験に失敗して以降、人生が迷走してしまう。夢も自信も失い、予備校講師として日々を過ごす中で、無気力な生活を送っていた。そんな順子が出会ったのが、厳しい父親から見放された問題児の高校生・由利匡平(ゆりきょうへい)であった。父親に「ろくでなし」扱いをされている匡平に10代の自分を重ねた順子は、「好きなだけ暴れなさい。私みたいなつまんない大人になるな」と本気の思いをぶつけてしまう。そんな順子に関心を抱き、匡平は父親を見返すために父親の出身校である東大に入ることを目標に、順子の生徒になることを申し出たのだった。順子は「父親のため」などという他人のための理由で自分の将来を決めると後悔するからと、東大合格を諦めさせようとする。しかし、学力テストを自力でこなし、父親に対する思いとは無関係に自分で決めて未来を進みたいと思うようになったという匡平の真っ直ぐな姿勢に心を動かされ、引き受けることに。匡平の父親は有名な議員であったことからプレッシャーを感じつつも、その重圧を常に受けてきた匡平のことを思い、指導に熱を入れる。

二人三脚で挑む受験

最初は面倒に思っていた匡平に対して、次第に順子は彼を東大に入れようと熱心に指導するようになる。常に一緒に時間を過ごし、同じ目標に向かっている2人を目撃した順子の従兄弟・八雲雅志(やくもまさし)は焦りを覚える。20年近く順子に片思いしており、なかなか思いを伝えられずにいた雅史だったが、順子の婚活を心配する友人、松岡美和(まつおかみわ)に背中を押され、デートの約束を取り付けようと積極的に動き出す。
塾の合宿として、順子と匡平は軽井沢の合宿所で数日間過ごすことに。同時に匡平が通う高校の生徒たちも修学旅行で軽井沢の合宿所近くに来ていた。そこで、以前、研修で再会した山下一真(やましたかずま)と遭遇。山下は順子の高校の同級生であり、彼女に初めて告白した相手だった。
受験に向けて切磋琢磨する中で、匡平は真剣に向き合ってくれる順子に惹かれ始めており、順子をまるで恋人のように扱うようになる。匡平の態度に戸惑う順子だが、美和が仕組んだ冗談だと勘違いしたことで安堵し、「東大に入れるまでは先生と生徒として隣にいたい」と、匡平に本音を伝える。その思いを受けた匡平は、東大に合格するまでは思いを秘めることを決心したのだった。
合宿を終え、模試の結果は芳しくなかったが、順子は次の手を考え、匡平の東大合格を目指し続ける。
順子と再会した山下は、順子に離婚したことを告げ、会話を重ねる中で徐々に親しい仲になっていく。匡平は2人の親しげな様子に気づき、自分の教師である山下に向かって「引っ込んでろ」と啖呵を切ったのだった。ストレートに思いを言葉にする匡平に触発され、山下も順子をデートに誘うようになる。山下のアプローチを順子はかわそうとするが、折れない山下の誘いを断わりきれずにいた。
受験勉強を続ける匡平は、突然父親に、再婚相手を紹介され激しく動揺してしまう。そんな匡平に対してたまらない感情を抱いた順子は、徐々に自分の恋愛感情が匡平に向いていることを自覚し始めるのだった。

模試の対策の裏で揺れ動く恋愛模様

塾の強化合宿で順子は、「匡平が合格するその時まで隣で教師として寄り添っていたい」と切なる願いを告げ、それを聞いた匡平は合格への覚悟をいっそう強めていく。そんな熱意虚しく、模試の結果は合格ラインには程遠く、順子は学力アップのための手段を模索する。文系を受験していた順子は、不得意分野である理数科目だけ東大受験専門塾「花恵会(はなえかい)」に通わせることにしたのだった。花恵会の講師の中で1番人気の百田朋奈(ももたともな)にコンプレックスを抱く順子だが、後に経歴が詐称されていたことが明らかになってしまう。塾長に全てを打ち明けていた朋奈は、順子に「誰かに必要とされたい」という願望を常に抱いていたことを打ち明ける。今まで努力してきた自分に、匡平を預けて欲しいと訴える。1度断った順子だったが、後日、牧瀬の努力を認め、匡平の理数科目の講師となることを提案するのだった。牧瀬を理数科目の講師に加え、匡平たちはセンター試験の模試への対策を開始する。
一方で、順子は32歳の誕生日を迎えたことをきっかけに、婚活を始めようとしていた。順子が恋愛に気持ちが向いたことで、山下、雅志は順子をデートに誘い気持ちを露わに。山下は「1回でいい。チャンスくれよ」とストレートに順子を誘うも、バイクで連れて行ったデートスポットがどこも混んでいて思うように行かなかった。不良と抜け出したようで楽しかったと伝える順子だが、ふとした時に匡平が頭に浮かんでしまう。順子が家に着くと、デートの様子が気になった雅志が待っていた。雅志の思いに全く気が付かない順子の様子に痺れを切らし、雅志は順子にキスをしてしまう。誤魔化そうとする順子に、雅志は長年の思いを告白し、いつまでも返事を待つと伝えたのだった。
自分を取り巻く恋愛模様に戸惑う順子だったが、その一方で着実に試験の日程は近づいていた。匡平の父親と見知らぬ女性が歩いているところを見かけた順子は匡平に父親のこと質問する。父親の不倫と母親の死を悲しい表情で語る匡平の様子に、堪らず順子は抱きしめてしまう。抱きしめ返されたことで、順子は匡平への恋愛感情を自覚し始めるのだった。

ドラマ版

ピンク頭の不良少年とアラサー講師の挑戦

中学・高校時代の順子は優等生で、東大合格を期待されていた。しかし、受験に失敗して以降、人生が迷走してしまう。夢も自信も失い、予備校講師として日々を過ごす中で、無気力な生活を送っていた。

そんなある日、順子は勤務する予備校で、不良高校生、匡平と出会う。匡平は、父親から半ば見放されており、勉強に全く興味を持っていなかった。父親に「ろくでなし」扱いをされている匡平に10代の自分を重ねた順子は、「好きなだけ暴れなさい。私みたいなつまんない大人になるな」と本気の思いをぶつけてしまう。そんな順子に関心を抱き、匡平は父親を見返すために父親の出身校である東大に入ることを目標に、順子の生徒になることを申し出たのだった。順子は匡平に東大合格を諦めさせようと試みるが、彼の真っ直ぐな姿勢に心を動かされ、引き受けることに。匡平の父親は有名な議員であったことからプレッシャーを感じつつも、その重圧を常に受けてきた匡平のことを思い、指導に熱を入れる。

軽井沢合宿で揺れ動く恋心

順子と匡平は塾の強化合宿で軽井沢に行くことになる。その一方で、順子に告白しようと目論んでいた従兄弟の雅志もプロジェクトを終え、余暇で軽井沢へ。さらに学生時代の友人、山下までもが軽井沢に揃ってしまう。山下は、高校生時代、唯一順子に告白をしてくれた同級生だ。順子を中心に3人の男性の恋愛模様が動き出す。順子の真っ直ぐに生徒を想う気持ちに惹かれ、18歳になったら告白すると心に決める匡平。匡平は雅志に宣戦布告をし、順子にアプローチを開始する。さりげない気遣いや、熱い視線、少女漫画のような甘い言葉を常日頃から語りかけてくる恭平の様子に順子は動揺してしまう。順子が、匡平が合格するその時まで隣で教師として寄り添っていたいという思いを告げたことにより、匡平はアプローチを辞め、合格のために集中する覚悟を決める。

初恋の結末

模試の結果はE判定と、合格基準には程遠く、順子は合格のための手段を模索する。同じ教師として親近感を抱いた順子は、山下と同志のような思いを抱きながら心を通わせていく。そんな中、32歳の誕生日を迎えたことをきっかけに、自身の婚活を始めようとする順子。順子が恋愛に気持ちが向いたことで、山下、雅志は順子をデートに誘い、気持ちを露わにする。順子は、周囲を取り巻く恋愛模様に戸惑いながらも、センター試験の模試への対策を開始する。
山下、雅史とのやりとりに嫉妬心を抱き、葛藤しながらも受験に向けて勉強する匡平。
ついに迎えた受験当日、順子が事故に遭ったという連絡が入る。雅志は仕事をキャンセルし、病院に駆けつけていた。駆けつけた雅志に順子は、「すき」という感情が異なることを理由にプロポースを断ったのだった。
ついに、合格発表の日を迎え、順子は匡平が合格したと聞いて喜びを分かち合う。やっと告白できると、順子に思いを告げようとする匡平に対し、順子は教師と生徒であることを気にしたことから、雅志のプロポーズを受けたと嘘をついてしまう。
その後、山下から真実を聞いた匡平は順子に再び思いを伝えるが、「好きなだけじゃダメ」と再び断られてしまう。両思いであるはずの順子と匡平だが、涙を飲んで別れの道を決意する。
別々の人生を歩むことを決めたはずの順子だったが、雅志や山下たちに匡平との出来事を話すうちに、自分が常識に縛られていることに気づく。自分に素直になり、本当に求めていることを理解した順子は、大学で講義を受ける匡平へ会いに行き、大勢の前で堂々と告白をする。思いが通じ合った2人はキスをしたのだった。

『初めて恋をした日に読む話』の登場人物・キャラクター

主要人物

春見順子(はるみじゅんこ/演:深田恭子)

物語の主人公。31歳の独身、実家暮らし。予備校講師として働く、恋愛経験がほとんどない平凡な女性。
親の期待に応えて学生時代は成績優秀だったが、東京大学の受験に失敗して以降は自信を無くし、ぼんやりと生きてきた。
偶然出会ったピンク色の髪の不良高校生、匡平の東大受験を支えることに。
匡平には一方的に恋心を抱かれるが、恋愛経験が浅くなかなか気づかない。

由利匡平(ゆりきょうへい/演:横浜流星)

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