朱色の仮面(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『朱色の仮面』とは2021年8月より原作Dr,poro、漫画那波なばな(なばなばな)が『ヤングキングアワーズ』で連載を開始。仮面の能力を活かし敵と戦うバトル漫画。主人公は旅をしながら仮面を売り歩くペル。笑顔を振りまき商売をする彼には辛い過去があった。過去を乗り越え、迫り来る敵と戦っていく様が描かれる。彼が抱える過去と過去を払拭する旅の目的を紐解きながら仮面の能力を駆使した戦いが楽しめる作品。

『朱色の仮面』の概要

『朱色の仮面』とは2021年8月より原作Dr,poro、漫画那波なばな(なばなばな)が『ヤングキングアワーズ』で連載を開始。2022年6月3日に集計された『マンガDX+』の連載人気ランキングにおいて1位に輝いた人気作品。仮面の能力を活かし敵と戦うバトル漫画。主人公は旅をしながら仮面を売り歩くペル。彼が作る仮面は姿を消したり、常に笑顔になれたりとそれぞれに能力がある。笑顔を振りまき商売をする彼は、仮面作りの師匠と仲間を惨殺してしまっている。辛い過去を乗り越えつつ、仮面を使い迫り来る敵と戦っていく様が描かれる。「なぜペルは師匠と仲間を惨殺してしまったのか」という理由と、「なんのために旅をしているのか」という目的を紐解きながら、仮面の能力を活かした白熱した戦いが楽しめる作品。

『朱色の仮面』のあらすじ・ストーリー

喋る仮面

額に十字傷を負った仮面商人のペルは世にも珍しい仮面を売っていた。ペルはリブスランという都市に到着し、住人に自慢の仮面を紹介していく。ペルが本日の目玉商品とうたうのは「笑顔の仮面」という、つけるだけで顔に仮面が張り付きどんな人でも笑顔になってしまうというものだった。都市の住人は常に笑顔だったペルの謳い文句に呆れ、その場を去って行ってしまった。手応えを感じられなかったペルが落ち込みながら街を歩いていると少年3人組が話しかけてくる。その少年たちは仮面屋さんに憧れており、ペルにサインをもらいたいと駆け寄ってきたのだ。落ち込んでいたペルが少年たちのお願いを聞いて上機嫌になっていると、少年の1人が目で合図を送る。合図の先には帽子を被ったソナというロングヘアの少女がおり、ペルが売り物にしている仮面を盗み出す。

しばらくしてペルが仮面を盗まれたことに気づき、ソナの後を追いかけた。ソナは都市の中で一際高い時計台に隠れ、盗んだ仮面の状態を確認する。その仮面は木箱に入り鍵がかけられていた。ソナが鍵を開けることに苦戦をしていると箱の中から奇妙な音が聞こえ、1人でに喋り始める。ソナは一瞬驚いたものの、喋る仮面はいまだかつて聞いたことがなく、価値があるものに違いないとワクワクしていた。するとそこにペルが現れる。ペルは自分が所有する仮面の中から壁を蜘蛛のようによじ登れる「蜘蛛の仮面」をつけ、時計台の壁を登ってきたのであった。

ガストンの遺品

ペルはソナを捕まえ、盗まれた仮面を奪い返す。するとソナは箱に描かれていたマークに見覚えがあるとペルに伝える。箱には世界で三指に入る仮面屋でペルの師匠であるガストン・ルーという男の作品であることを証明するマークが描かれていた。ガストンが作る仮面には不思議な力があり、悪用されることを恐れていたペルはガストンの仮面を集め旅をしていたのだ。ペルは仮面の詳しい情報を聞き出すために、都市にあるカフェにソナを誘う。ペルがガストンの仮面をまとめた一冊の本を差し出し、ソナに確認をしてもらった。ソナが見た仮面は「炎龍の仮面」というものであり、それは城の中にあるとソナは言った。ソナは元王女であり、城の中を案内すると伝える。

城の中を知り尽くしていると豪語するソナと共にペルが城を訪れると、2人は城内に隠された罠にひっかかり、地下の下水道に落下した。暗い下水道の中で灯りを探していると、王族を追い出し、城を占拠していた統治隊という組織幹部のトトクという人物が現れる。トトクはペルに「ガストンの仮面はいくつ見つかりましたか」と問いかけた。問いかけを無視し、ペルはトトクが持っていた蝋燭の火を消し、「猫の仮面」を装着した。猫の仮面は夜行性である猫のように暗がりでもよく見えるという効果がある。ペルは仮面の効果でトトクを一方的に攻撃し、逃げようとした。逃げようとするペルにトトクは1つの仮面を見せる。その仮面はガストンが作った最後の作品「勇気の仮面」というものだった。ペルがなぜ勇気の仮面を持っているのかを問いかけると、トトクは「我々はガストンの仮面を2枚持っている」と告げ、ペルがガストンの最後の弟子であることを確信する。

武神の仮面

トトクはペルに対して「あなたですね、ガストン・ルーを殺したのは」と言い、ペルを追い詰める。ペルが持っている仮面の中には「武神の仮面」というものがあり、その仮面は危険すぎるがあまりガストンが自室に隠し持っているとされていた。しかし弟子の1人が誤ってその仮面を被ったことで仲間の弟子とガストンを皆殺しにしてしまったのだ。その張本人がペルだったのだ。「仲間に加われば、所持している2枚の仮面を差し出す」というトトクの誘いを断り、ペルはトトクと戦うことを選ぶ。猫の仮面をつけたペルがトトクに攻撃しようとすると、トトクは隠し持っていた火炎瓶を放り投げ、自分の剣で破壊し視界を明るくした。そしてペルを剣で切りつける。猫の仮面は暗闇でも視界が良好になることに加え、猫のような反射神経を身につけることができるが、トトクの攻撃はその速さを上回っていた。

一方的に攻撃を受け、囚われそうになるとペルはカバンの中を漁り「武人の仮面」というものを取り出す。この仮面は周りから半人前だとバカにされていたペルがガストンの「武神の仮面」を参考に自分で作り上げた仮面だった。「武神の仮面」が原因で起こった一件は不慮の事故だったのだ。一人前になったと認めてもらいたかっただけのペルは師匠に認めてもらえなかったことを嘆きながら仮面を被り、トトクに「間合いに入ったら切る」と告げる。武器を手に持っていないペルの一言がハッタリだと確信したトトクはペルに斬りかかろうとする。するとペルの手から黒い刀が突然現れ、トトクを切り裂いた。「武人の仮面」は不完全な仮面だったが、一瞬だけ刀を具現化することができる仮面なのだ。トトクを倒し、持っていた「勇気の仮面」を破壊しようとすると仮面の裏に「一人前おめでとう」というガストン直筆の文字が描かれている。それを見たペルは仮面を破壊することをやめ、「炎龍の仮面」を奪い返すために一度城から引き上げることにした。

世界最強と名高い剣士

「炎龍の仮面」を奪うために城を偵察していると、城を占拠していた統治隊のリーダーがゴウオンという世界最強と名高い剣士であることを知る。真っ向からの侵入は危険だと判断したペルは被ると周りの景色と同化することのできる「カメレオンの仮面」で侵入する。城内に侵入することに成功したペルは、ある一室から途轍もない圧を感じた。その一室に侵入すると、椅子に座っているゴウオンと壁にかけられた「炎龍の仮面」を発見する。

「カメレオンの仮面」で姿が見えない瞬間に「炎龍の仮面」を奪おうとすると、ゴウオンが気配を察知し、姿を隠しているペルに斬りかかる。間一髪で一撃を避けたペルは「炎龍の仮面」を奪うことを諦め、一目散に城を後にしようとした。なんとか逃げ切ったとペルが安心していると逃げ切った先にゴウオンが待ち伏せしており、ペルは拘束されてしまう。ゴウオンに囚われたペルを側から見ていたソナに対して木箱に入っている「武神の仮面」が「お主の憎悪、我が晴らそう」と囁く。家族をゴウオンに皆殺しにされたソナは「武神の仮面」がささやく通りに鍵を外し、箱を開けてしまった。

箱が開くと「武神の仮面」が宙を舞い、ソナの顔に張り付き巨大な球体が現れた。ゴウオンの手下がその球体を破壊しようとすると、球体の中から「武神の仮面」を被った化け物が飛び出てくる。ゴウオンは化け物と一騎打ちになり、化け物を圧倒した。化け物が殺されかけると「ジカンダネ」と化け物が呟き、武士の甲冑をまとった化け物に変化する。変化した化け物は今まで優勢だったゴウオンを一方的に攻撃し、ゴウオンを葬り去った。

ゴウオンが死んだ後も暴走をし続ける「武神の仮面」を止めようとペルが立ち向かう。ペルは「武人の仮面」で対抗するものの、片腕を刀で切り落とされてしまった。しかし「武神の仮面」の効果持続時間、弱点を把握していたペルが一矢報い、「武神の仮面」の暴走を食い止める。ソナは「武神の仮面」に体を乗っ取られながらも自分がペルの片腕を切り落としてしまった光景を目の当たりにしていた。その申し訳なさから故郷であるリブスランを飛び出し、ペルとの旅をスタートする。

煙の少年

2人はリブスランを後にし、コーンブルームという街に辿り着いた。街のカフェで食事をとっていると、お客さんの前で堂々とタバコを吸うモクという少年が話しかけてくる。少年は仮面屋に用事があると言うが、ペルとソナはヘラヘラした態度を見せるモクが怪しいと判断し、その場を後にした。片腕を失ったペルは今後2人で戦闘しなければいけない場面がくることを見越して、ソナに「カメレオンの仮面」を預け、トレーニングをし始める。ペルは仮面をつける時の注意点として、長く仮面をつけていると顔から剥がれなくなる被仮面(ヒメント)になってしまうことをソナに伝えた。

トレーニングを積んでいると突然体に紐が巻きつき、ペルは体を引っ張られた。引っ張られた先にはゴウオン側近のヒエンという男がおり、ペルを殺そうとする。間一髪の状況で急に周りが煙で覆われ、ペルは攻撃を回避する。煙が薄くなると、その場にはモクがいた。モクは「あいつやっつけたら頼みの1つでも聞いてくれや」と告げると、タバコを吸い、煙を吐き出す。吐き出された煙はモクの姿を形取り、モクが10数人に分身した。ヒエンが分身に気を取られていると、その隙を見てモクはヒエンの周りの酸素を減らし、ヒエンを気絶させた。戦闘を終えたモクがペルに近づき、自分が「煙の仮面」を被った被仮面であることを伝える。ペルは仮面を作ることはできるが、仮面を剥がすためには剥がし屋と呼ばれる仮面を外すことを専門にする知り合いじゃないとできないと伝えた。仮面を剥がすまでの間ペルとソナ、そしてモクが共に旅をすることになる。

死者を蘇らせる仮面

モクについた仮面を剥がすために3人はペルの故郷を訪れる。ペルがしばらく故郷を離れているうちに黒尽くめの格好をし不気味な仮面をつけた謎の宗教団体が住みついていた。彼らは死んだ人を生き返らせるといい、街の住人に布教活動を行っている。するとモクの側に宗教団体の1人であるレイエンという男がやってきて布教活動を始めた。モクが吸っていたタバコの煙で追い払おうとすると、レイエンは黒いメスで斬りかかってくる。モクはその攻撃を避け、被っていた仮面に蹴りを入れる。仮面が外れ素顔を確認すると、額に紋が入ったゾンビが姿を現した。素顔を見られたレイエンは黒いメスを使って空間に切れ目を作り出し、逃げ出した。モクが一部始終をペルに説明すると、それはガストンが作った仮面の中で最高傑作に含まれる「死霊の仮面」という極めて危険度の高い仮面によって生み出されたゾンビだと言う。この仮面を被ることで死者を思いのままに操ることができるのだ。「死霊の仮面」は「武神の仮面」と同レベル、もしくはそれ以上に危険度の高い仮面であることを告げ、ペルはソナとモクと共に街を出る計画を立てた。

街を後にしようとする3人の元にレイエンたちが姿を現す。レイエンと因縁のあるモクはレイエンを追い払おうと煙で分身を作り出した。先ほど追い払った時とはうってかわって、冷静に仮面の弱点を分析し、モクを追い詰めていく。モクの危険を感じたペルは「蜘蛛の仮面」を被り、レイエンたちを蜘蛛の糸で拘束した。しかしレイエンは「蜘蛛の仮面」の弱点も見抜き簡単に拘束が解かれる。モクは煙を使って周りの空気を薄くし敵を無力化しようとするものの、黒いメスで別の空間から来た宗教団体のメンバーに捕まり、連れ去られてしまう。モクが周りを見渡すと地獄のような景色が広がっており、圧倒的な威圧感を放つ男がいた。その男の名はリンネといい、「死霊の仮面」を操っている宗教団体のリーダーだった。ペルとソナはモクを助けるために宗教団体のアジトに潜入していた。アジトの中に「カメレオンの仮面」で潜り込むと、十字架に磔にされたモクを発見する。ペルは「カメレオンの仮面」から地中や壁を自在に行き来できる「土竜の仮面」に付け替え、リンネと対峙した。しかしリンネの圧倒的な実力を前に一方的に攻撃をくらってしまう。ピンチを脱するためにソナは「カメレオンの仮面」を被り、ペルを連れてアジトを逃げ出した。

街の中心まで逃げ切ると、地震が起こり始め、街に時空の歪みが現れた。リンネは街一体ごと別の空間に落とそうとしていたのだ。ペルとソナも街の住人たちと共に別の空間に落とされてしまう。そこにはリンネがおり、「ここはお前らの墓場となる」と告げた。別の空間に閉じ込めれられたペルはなんとかして空間から抜け出す方法を考える。するとソナがペルの肩をたたき、黒いメスを見せる。先ほどのアジト潜入の際に「カメレオンの仮面」を被り、黒いメスを宗教団体のメンバーから盗み出していたのだ。ペルは黒いメスを使い、磔にされているモクのところへ行き、モクを救出した。そして「武神の仮面」を持ってリンネに戦いを挑む。

武神の仮面VS死霊の仮面

「武神の仮面」と「死霊の仮面」はガストンの作った仮面の中でも最高傑作であり、仮面自身が意志を持っている。ペルとリンネがそれぞれ仮面を被ると仮面が擬人化し、会話し始めた。仮面同士の戦いは壮絶で、一撃で街が崩壊するほどだ。「武神の仮面」は時間が経過するごとに進化していき、徐々に「死霊の仮面」を圧倒していく。瀕死状態になった「死霊の仮面」は自らの命を生贄にして「武神の仮面」を道連れにする大技を繰り出したが、「武神の仮面」は最後の力を振り絞り大技を回避した。ペルは「死霊の仮面」を倒すことに成功したが「武神の仮面」が外れず、暴走が止まらなくなってしまう。すると黒いメスで空間を切り裂き、レイエンが弱っていた「武神の仮面」を後ろから拘束し、「武神の仮面」に乗っ取られているペルに対し「なぜまた武神を被った。俺の蜘蛛の仮面まで持って行きやがって、とっとと起きやがれ」と訴えかける。「死霊の仮面」によって蘇っていたレイエンはペルと共にガストンから仮面の技術を学んでいた仲間であり、蜘蛛の仮面を作ったゼントという男の子だったのだ。かつてペルは落ちこぼれであり、みんなから認めてもらうために「武神の仮面」を被り、ガストンと仲間を殺してしまう。そこからガストンにも仲間にも謝れず、ずっと後悔の念を背負っている。死霊の姿となったゼントに再会し、やっとのことで謝ることができ、ゼントがペルの過去の過ちを許すと、死霊の姿から解放された。

『朱色の仮面』の登場人物・キャラクター

主人公

ペル

この物語の主人公。師匠であるガストン・ルーに認められるため「武神の仮面」を参考にしようと被ったところ「武神の仮面」に乗っ取られ、ガストンと仲間たちを殺してしまう。他の人が自分と同じ目に遭わないように、旅をしながらガストンの作った仮面を探す。

ペルの仲間

ソナ

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