WIND BREAKER(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『WIND BREAKER』とは『マガジンポケット』(講談社)を掲載誌とする、にいさとるの漫画。偏差値は最底辺、喧嘩は最強。”落ちこぼれ”の吹き溜まりといわれる風鈴高校でてっぺんをとるために入学してきた一匹狼の高校生・桜遥(さくら はるか)。街で不良に絡まれていた女性・橘ことは(たちばな ことは)を助け、そのお礼に橘が働く喫茶ポトスに招かれるところからストーリーは始まる。風鈴高校での生活が生む、今までの生活との違和感を感じながら成長していく桜の心情が描かれるヤンキー漫画。

『WIND BREAKER』の概要

『WIND BREAKER』とは2021年1月13日より『マガジンポケット』(講談社)を掲載誌とする、にいさとるの漫画。2021年8月に行われた「次にくるマンガ大賞2021年」ではWebマンガ部門で20位を獲得。偏差値は最底辺、喧嘩は最強。”落ちこぼれ”の吹き溜まりといわれる風鈴高校でてっぺんをとるために入学してきた一匹狼の高校生・桜遥(さくら はるか)。街で不良に絡まれていた女性・橘ことは(たちばな ことは)を助け、そのお礼に橘が働く喫茶ポトスに招かれるところからストーリーは始まる。風鈴高校でてっぺんをとると意気込む桜に対し、橘は風鈴高校のてっぺんはとれないと告げる。物語の中で桜がてっぺんをとれないと告げられた理由が明らかになると共に、風鈴高校での生活が生む、今までの生活との違和感を感じながら成長していく桜の心情が描かれる。

『WIND BREAKER』のあらすじ・ストーリー

風鈴高校入学式

街で不良にナンパされる橘ことは(たちばなことは)。それを見かけた桜遥(さくらはるか)が助けに入る。橘は助けてくれたお礼にと、自分が切り盛りする喫茶ポトスに桜を招く。少し話をし、喫茶ポトスを後にすると橘を助けた時にボコボコにした相手に仕返しをされる桜。そこに同じ風鈴高校の制服をきた3年柊(ひいらぎ)が現れ、桜を救う。もともと治安が悪かった東風商店街を、風鈴高校の生徒たちが救い、街の人たちがチーム名を防風”鈴”(ボウフウリン)、ボウフウリンに所属するメンバーたちをウィンドブレイカー(この街の盾)と命名。

入学式当日、桜が喫茶ポトスに訪れると1年の同級生・楡井明彦(にれいあきひこ)と出会う。喧嘩では頼りにならないが、持ち前の情報力を元にてっぺんまでつれていくと桜に宣言したのである。桜がクラスに着くと黒の眼帯をつけた同級生・蘇枋隼飛(すおうはやと)に目をつけられる。喧嘩が始まるかと思いきや、蘇枋が桜が入学式前日に起きた街での喧嘩を褒め、クラス内は入学式前日の喧嘩で持ちきり。盛り上がっている最中、桜の元に机が飛んでくる。机を飛ばしてきたのは学年1ヤバいと噂される・杉下京太郎(すぎしたきょうたろう)である。その後、喧嘩に発展していく2人。杉下と桜が喧嘩をしている最中、教室内のスピーカーから放送が流れる。その声の正体は、ボウフウリン総代3年・梅宮一(うめみやはじめ)だ。

街を守るための取り組みとして街の見回りにいくことになり、同じグループになった杉下と桜と柊と楡井と蘇枋。すると橋の向こうから力を絶対信仰に掲げるチーム・獅子頭連(ししとうれん)から追われるボウフウリンが見回っている地域の制服をきた中学生がやってくる。ボロボロになった姿をみかねた杉下と桜は橋を越える前の獅子頭連の本拠地で手を出してしまうである。

風鈴高校VS獅子頭連

獅子頭連の副リーダーポジションの副頭取(ふくとうどり)・十亀条(とがめじょう)が現れる。十亀は負けた獅子頭連のメンバーを袋叩きにし、弱い奴はメンバーではないと切り捨てようとする。桜の一言が十亀の怒りをかい、ちゃんとした場所でボコボコにすると宣言。

今回の一大事の発端となった三中の笹城(ささき)が騒動のきっかけを梅宮に明かす。その後、風鈴高校に獅子頭連の頭取と名乗る・兎耳山丁子(とみやまちょうじ)が現れる。兎耳山率いる獅子頭連は風鈴高校に対し、5人同士による1対1タイマン勝負を申し込む。

決戦当日、獅子頭連の島についたボウフウリンは獅子頭連の根城であるオリオン座という潰れた映画館、通称「オリ」に案内される。初戦は杉下と獅子頭連のメンバー、細目でおしゃれな髪型をしたパワータイプ・有馬雪成(ありまゆきなり)に決定する。杉下は有馬を1発でダウンさせる。第二戦目は蘇枋と獅子頭連のオネェ口調が特徴的な鹿沼(かぬま)に決定する。戦う直前までは優しい雰囲気を醸し出していた蘇枋だったが、戦いになった途端表情を一変させる。攻撃をしても蘇枋にいなされる鹿沼は自分が負け、他の負けたメンバーと同じように嘲笑われることをイメージしてしまう。そのイメージを現実にすると蘇枋に告げられ、完全に戦意喪失。鹿沼が敗戦し、第三戦目は柊と柊に憧れつつも裏切られ因縁を持っている雰囲気の佐狐(さこ)に決定。柊との喧嘩を圧倒した実力で進めていく佐狐。そんな中、佐狐の強烈な蹴りが柊にヒットし柊は吹き飛ばされる。ダウン寸前かと思われた柊だったが、ケロッと立ち上がり佐狐の元に立ち寄り柊の反撃が始まる。見事佐狐に勝利した柊。第1、2戦と同様に勝負の場から敗者を退けようとする十亀の手を柊が払う。3戦目を終え、ついに桜と十亀の喧嘩が始まるのである。

桜と十亀は拳に乗せて互いの主張を言い合っていく。十亀は自分の知らないところで獅子頭連のメンバーが中学生をいじめていた事実を知る。チームの悪行の事実を知った十亀は最初の勢いとは裏腹に勢い、覇気を失っていく。迷いのでている十亀に対して桜は自分の意志を曲げない強さをさとしていく。そんな桜の言葉に徐々に呼応し、元の強さ以上の強さを発揮し出していく。互いが本気でぶつかり合い、笑い合いながら喧嘩をする2人。2人は殴り合いをしながら本気でぶつかり合うことの楽しさを実感していく。十亀は桜の一撃を顔面にもらい、そこでギブアップを宣言する。4戦目の桜の勝ちが決定し、最終戦にもつれこむ。

兎耳山はスピードと手数を生かして梅宮に怒涛の攻撃を繰り出していく。しかし梅宮はそんな兎耳山の攻撃を受け続けても、表情は変わらない。梅宮は兎耳山に渾身の一撃を食らわせる。喧嘩が決着し、目を覚ました兎耳山に十亀が駆け寄り、1人にしてしまっていたことを謝罪。今までの過ちにけじめをつけるために獅子頭連を抜けることを決意する兎耳山。これからのチームを梅宮に託そうとする。梅宮は獅子頭連を受け入れることを拒否。梅宮は今回のこの喧嘩を互いが仲を深める親睦会ということにし、獅子頭連とボウフウリンで打ち上げをすることを提案するのである。てっぺんの存在する意味を痛感した兎耳山は十亀と共にチームと向き合い、一緒に最善の答えを見つけることを決意する。喧嘩を終えたボウフウリンは街に帰還し、その足で喫茶ポトスを訪れる。

風鈴高校三銃士

獅子頭連との喧嘩の翌日、クラスの扉を開けると、クラスメイトの1人筋トレマニアで他人の美学を聞きたがる柘浦大河(つげうらたいが)がやってくる。桜たちは街のお好み焼き屋で話をすることになる。そのお好み焼き屋には、クラスメイトでちゃらい格好をし、暇さえあればゲームをしている桐生輝(きりゅうみつき)が偶然女の子と共に訪れていた。柘浦が共にお好み焼きを食べようと提案するも、それを桐生は拒否。女の子が怯える姿を目にした桐生はお好み焼き屋を後にしたのである。その瞬間桐生たちは店前で不良の集団に囲まれる。

桜、柘浦、桐生は不良の集団と対峙し、ケンカをし始める。数で圧倒されていた不良の集団をいとも簡単に制圧する3人。ケンカが収まると、桜、蘇枋、楡井、柘浦、桐生は互いに連絡先を交換するのである。同じクラスである彼らのクラスのメッセージグループに級長を決める話題があがる。話し合いが始まってすぐ蘇枋が手をあげ、桜を級長に推薦。流れに乗るように柘浦、桐生、楡井も桜を推薦。戸惑う桜に対して、2年級長、頭にヘッドフォンをつけ、なんでも間でも周りに任せる放任主義の梶蓮(かじれん)が級長を桜にすることを決定したのである。

謎の集団KELL(キール)

集会を後にし、街に出ると白のジャケットに青の竜骨が描かれたKELL(キール)という謎の集団に出くわす一同。KELLは何かを探しているような素振りをみせ、その場を後にする。引き続き街を見回りしていると、ボロボロになり倒れていたクラスメイト・安西(あんざい)を発見。蘇枋がKELLとなにかあったのか質問すると、安西はあからさまに表情をかえ動揺した姿を見せる。公園で安西と女の子が話し、女の子が涙を流した姿を桜が目撃。話を聞くと安西と女の子は幼馴染であり、そこにもう1人長門(ながと)という幼馴染がいたことを明かした。

翌日クラスの元に一通の手紙が届く。中には1枚の写真が入っており、そこにはKELLのメンバーとボコボコにされた長門の姿が映っていた。その場を目にしたクラスメイトは桜たちと共に長門を救出するために全員で長門がいると思われる千巻造船所跡(せんかんぞうせんじょあと)に向かう。人数が少ないと言われていたKELLだったが、ゾロゾロとボウフウリンのメンバーを囲むように人が集まってくる。桜、蘇枋、柘浦、桐生、杉下の5人の活躍でKELL相手に優勢の状況を作る。そんな5人の前にKELLの刺客が姿を現す。

ボウフウリンが危機に陥り始めた時、風鈴高校の2年の3人、梶、楠本(くすもと)、楠見(くすみ)が姿を現す。梶たちがきたことによって目の前の敵に集中し、本領を発揮し始めた桜たち。徐々に形勢が戻り五分五分のところまで巻き返す。柘浦、杉下は無口で淡々と喧嘩をし続ける霧島(きりしま)、冷静に分析しつつスピードを活かした喧嘩をする最上(もがみ)に対して勝利を収める。普段おちゃらけている雰囲気の桐生も目の色を変えて、モヒカンヘアが特徴的なパワータイプの加賀(かが)と対峙する。桐生は急所への一発で加賀を倒す。ボウフウリンのメンバーは互いが互いを助け合い、みるみるとKELLを制圧していく。ボウフウリンのメンバーの中で1番クールな蘇枋もKELLの汚いやり方に激怒し、皮肉なことしか口にしない利根(とね)に追い討ちをかけようとする。その蘇枋の手を桜が止める。

梶はKELLのトップ名取慎吾(なとりしんご)と対峙する。名取は梶に対して、「今のお前は牙を抜かれているから勝つことはできない」と吐き捨てる。名取の怒涛の攻撃に、過去の感情剥き出しの梶が現れそうになるのである。過去の梶の姿が現れたと思いきや、いたって冷静な梶。梶と名取の戦いが終わると同時に他のボウフウリンのメンバーもかたをつけ始める。勝負にかたがつき、長門がボコボコにされた経緯を知る。名取は長門を誘ったのが、「チームに都合のいいカモであったからだ」と打ち明ける。そこからカツアゲを強要されるようになり、チームから離れられなくなったことを告白。

奥さんが伝えたかった気持ち

親睦会の翌日、ボウフウリンのメンバーは屋上に集められる。それは定期的に開かれている学年関係なしの懇親会であった。桜はその中で女性の姿をしたボウフウリン四天王の1人・椿野佑(つばきのたすく)と出会う。椿野と話していく中で、桜はデートに誘われる。

椿野は蘇枋、楡井、桜をつれてあるおじいちゃんの元へ訪れる。そのおじいちゃんは奥さんを亡くし、塞ぎ込んでいる様子を見せる。椿野がおじいちゃんを気にかけるのは、ありのままの自分を愛してくれる存在だからだと打ち明ける。何を選んでもいい、自分で好きなものを選ぶことが大切だと教えるのである。そんな過去の恩があるからこそ、椿野は元気がなくなっているおじいちゃんを元気づけたいといい、桜たちはその恩返しに協力をすることになる。

翌日、おじいちゃんの家を訪れると、蘇枋がおじいちゃんにある質問をする。ツーショットの真ん中に写っている1本のハナミズキはどういった経緯で植えられたのか疑問に思ったようだ。そのハナミズキは奥さんが植えたものだと答えると、蘇枋はそれに続いて奥さんがそのタイミングで怒っていたことを伝える。ハナミズキの花言葉の中には「あなたに関心がないとでも」という意味がある。奥さんは自分に関心がないのではと不安になっていたおじいちゃんへ花言葉を使い、遠回しの反論をしていたのである。

『WIND BREAKER』の登場人物・キャラクター

主要人物

桜遥(さくら はるか)

この漫画の主人公。てっぺんを目指すため街の外から引っ越し、風鈴高校に通っている。黒髪と白髪のメッシュにたそがれ色の片目という変わった風貌をしている。風貌のせいで周りから拒絶されてきた過去を持ち、なんでも1人でこなし1人で解決しようとする一匹狼。街に来た当初は街の暖かさや人の暖かさを感じることに違和感を感じていたが、徐々に慣れ自分の弱さを曝け出したり、周りを頼れるように成長していく。

橘ことは(たちばな ことは)

喫茶ポトスを切り盛りする女性。桜が街に来て最初に出会った人物で、人と群れることを拒絶する桜に対し、人と関わりを持つことの大切さを伝えていく。梅宮とは同じ施設で育ち、家族のような間柄。

楡井明彦(にれい あきひこ)

風鈴高校1年。入学式当日に喫茶ポトスで桜と出会う。ボウフウリンのメンバーに助けられたことから風鈴高校への入学を決意する。喧嘩が弱くおっちょこちょいな一面があり、自分にあまり自信がない。ボウフウリンきっての情報通であり、強い人を見かけると自前のノートに情報を書き留めていく。入学数日で風鈴高校の生徒全員の名前と顔を一致させる。持ち前の情報で桜をサポートしていく。

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