結界師(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『結界師』とは、『週刊少年サンデー』で連載していた田辺イエロウによる日本の漫画作品。『週刊少年サンデー』で2003年47号から2011年19号まで連載され、2006年度(第52回)小学館漫画賞少年向け部門受賞。テレビアニメは2006年10月から2008年2月まで読売テレビ制作で放送。主人公、墨村良守は古くから続く結界師の一族である。隣に住む幼馴染の雪村時音とともに、夜の学校を舞台に「結界術」を使って妖怪を退治し、烏森という霊的エネルギーが集まる場所を外敵から守るために日々奔走する物語である。

『結界師』の概要

『結界師』とは、『週刊少年サンデー』で連載された田辺イエロウによる日本の漫画作品であり、ジャンルは、妖怪・ファンタジー・ホラー。『週刊少年サンデー』で2003年47号から2011年19号まで連載され、2006年度(第52回)小学館漫画賞少年向け部門受賞。テレビアニメは2006年10月16日から2008年2月まで読売テレビ制作で全52話放送。監督はこだま兼嗣、シリーズ構成は大野木寛、キャラクターデザインは高谷浩利。アニメーション制作はサンライズが担当。
アニメ版製作局、読売テレビ本社の近くを通っているJR西日本の大阪環状線に「結界師」のラッピング電車が走っていた。また、日本郵便が2009年5月22日に発行した記念切手『週刊少年漫画50周年II』の20種のうち、近年少年サンデーに連載された作品の一つとして「結界師」が題材に取り上げられている。

400年続く妖(あやかし)退治の専門家、結界師一族の家に正統継承者として生まれた主人公、墨村良守(すみむらよしもり)。同じく結界師の一族の正当継承者で、幼なじみの雪村時音(ゆきむらときね)。墨村家と雪村家は犬猿の中であるが、ともに霊的エネルギーが集まる烏森(からすもり)を狙う妖から守っている。
烏森を狙う黒芒楼(こくぼうろう)との戦い、兄である正守(まさもり)が率いる夜行(やぎょう)との出会い、異能者をまとめあげる組織であり権力と化け物じみた力を持つ裏会(うらかい)の暗躍、そして烏森に秘められた400年にも及ぶ謎。良守は、激動に巻き込まれながらも、自分の目標である、烏森を封印することを目指してがむしゃらに突き進む。

『結界師』のあらすじ・ストーリー

烏森の歴史

昔、烏森(からすもり)の地を治めていた烏森家は、異常なほど霊的エネルギーが強い一族だった。しかしそのエネルギーを狙う妖(あやかし)に悩まされてた。
そこで、その妖を封じる専門家が呼ばれた。それが、開祖の間時守(はざまときもり)である。

代を重ねるごとに土地に霊的エネルギーが蓄積し、そのエネルギーを得た妖が人々に害をなすようになり、烏森家は滅んだ。
烏森家の力の源である魂を祀った祠は、かつての城跡である烏森学園の地下深くに埋まっている。そして、霊的エネルギーは烏森に残り続けており、今も妖に狙われている。

良守の原点

幼いころの良守

開祖である間時守の弟子だった墨村(すみむら)と雪村(ゆきむら)。間時守より、墨村と雪村を烏森の見張り役としてつけたのが烏森の結界師のはじまりである。
烏森を守護しているのは墨村良守(すみむらよしもり)と雪村時音(ゆきむらときね)。同じ結界師でありながら険悪な両家。

そんな関係に辟易しながらも毎夜、学園に忍び寄る妖を退治をしてる良守だったが、9歳の時に自分の不注意で時音に怪我をさせてしまう。一命は取り留めたものの、手にはその時の傷が残ってしまった。この苦い経験から、人が傷つくことを人一倍恐れるようになる。

14歳になった良守は誰かが、特に一番近くにいて幼い頃より恋心を抱いている時音を傷つかせないために、妖に挑んでいくのだった。

兄の帰還

普段は家から出て、裏会(うらかい)にいる良守の兄、正守(まさもり)が帰ってくる。年の離れた正守は、結界術を高度に扱う。また、家にいたときは時音がべったりだったこともあり、良守は苦手意識を抱いていた。

結界師としての勤めを果たすべく学園に繰り出した良守と時音だったが、そこへ植物の妖が出現。烏森の力もあり、急速に成長して校庭を森にしてしまうが、良守の奇策により滅することに成功する。
それを遠くから見物していたのは正守だった。正守は植物の妖を持ち込み、烏森と良守の力を見極めるために帰ってきたのだった。

その結果に満足したのか、正守はまた家を発っていった。

良守の目標

ある日、良守のいる烏森学園に土地神であるウロ様とお付きの豆蔵(まめぞう)が訪ねてくる。
繁守曰く、ウロ様は普段は隣町にある無色沼(むしきぬま)に住んでいるが、寝床の調子が悪くなると結界師に修復を頼みにくるということだった。

依頼を受け、無事寝床を修復し終え帰還した良守だったが、烏森の存在に疑問を持つようになる。やがて、いずれ烏森を永遠に封印することを誓う。

強敵の出現

烏森について考えを巡らせている中、良守は烏森を狙う存在がいることを知る。その名を黒芒楼(こくぼうろう)と言う妖の集団である。
黒芒楼は、姫と呼ばれる主の他に幹部クラスの妖が人間に化け、構成員となる妖とともに独自の集団を形成していた。夜しか人間の世界で活動できない妖が昼でも出歩けるように人間を模した皮を作成し、高い知能と統率力を持っていた。

そんな中、裏会の実行部隊、夜行から志々尾限(ししおげん)が結界師補佐として派遣される。限と良守達は最初は険悪な関係だったが、戦いを通し、互いに信頼を築いた。
そんな中、昼間の学校に人皮を被った妖が侵入。放送室を占拠し、自分たちは黒芒楼と名乗って良守たちを挑発した。

その夜、人皮を被った妖と対峙した良守達。その妖を率いていたのは、良守の因縁の相手となる強敵、火黒(かぐろ)だった。他の妖は退治したが、火黒の圧倒的な力の前に限と吉守は敗北しかける。しかし、人皮のタイムリミットが来たため火黒は一時撤退していく。一難去ったかにみえたが、火黒は限の前に姿を表す。

火黒は、限の立場や生い立ちなどの情報を知っており、「君ってこっち側だと思うんだよね」などと言葉巧みに揺さぶりをかけてくる。
また孤独になろうとしてる限と、不器用ながらも気に掛ける良守。そんな状況で、黒芒楼が烏森を乗っ取るために大部隊を率いて侵攻してきた。

多数の妖を退治していくが、幹部の一人である牙銀(がぎん)は、強的だった。そこで限は、暴走のリスクのある奥の手、完全変化を使う。
暴走を抑えるのに成功した限は、良守と時音の協力を受け、牙銀を追い詰める。しかし、あと一歩のところで火黒が乱入し、限を斬り捨ててしまった。
力を使い果たした限は、自分の力で誰かを守ることができたと満足し、死を受け入れて消えていった。

そんな中、進展しない現状に業を煮やした姫が、烏森に対して自分の尾を伸ばしていく。しかし烏森に触れた瞬間、烏森の力が逆流しその力にあてられた姫は体調を悪化させ、黒芒楼は撤退していった。

友の死を胸に

限のいない日常に身が入らない時音、そして自分の無力さを嘆く時守であったが、そんな2人の前に夜行(やぎょう)が現れる。
烏森の戦力を増強させるために烏森に支部を設立し、墨村家と雪村家に居候する夜行。良守は居心地の悪さから、一人で山で特訓するのだった。

そんな良守を見張る人影。それは、夜行の一員である影宮閃(かげみや せん)、秋津秀(あきつ しゅう)、八重樫大(やえがし だい)だった。
良守は3人に話を聞こうとするが、閃は良守の実力が見たいと攻撃してくる。

閃は良守の実力が低いと言い捨てつまらないとボヤくが、その言葉に良守が怒り、黒いオーラをその身に纏わせる。良守は仲間が死んでる中で何のつもりでこんなことをやっているんだと聞くが、逆に、閃に限に戦うのを任せっぱなしだったと言われてしまう。良守は限のことを謝り、力をつけることを誓うのだった。

黒芒楼との最終決戦

再び黒芒楼が烏森に侵攻。しかし、黒芒楼の狙いは烏森ではなく、結界師である良守だった。
黒芒楼を実質的に統率している白(びゃく)は、幹部である紫遠(しおん)に結界師を捕らえるように命令を出す。そして、烏森襲撃に乗じて良守を拉致することに成功する。

しかし、良守もまた宿敵火黒を討つためにわざと捕まり、黒芒楼の本拠地である異界に行くのだった。
そして、同じく捕らえられた閃、単独で異界に侵入した時音、良守たちを救出するために異界へ向かう繁守と正守率いる夜行。舞台は、異界に移っていく。

捕らえられた良守は、身体を縛られ身動きが取れないでいた。
そこへ繁守(しげもり)の旧友でもある松戸平介(まつど へいすけ)が現れ、お互いの戦いに手を出さないことを条件に良守を助ける。

良守は火黒を探し回るが、その途中で人形の妖と遭遇する。それは、黒芒楼の主である姫だった。しかし、姫は良守に敵対しなかった。逆に、「こんな城、壊れた方が良いのかしらね」と言って、自分の力を分け与えるのだった。

良守は、捕らえられた閃を助け出して、再び火黒に戦いを挑む。戦いの最中、吉守は黒いオーラを発生させる。
それは絶界と言い、本来であれば術者を囲う円の形をしているが、その力はまだ不完全であった。吉守は駆け付けた閃と共闘し、火黒を倒した。そして、異界に突入した正守たちと合流し、帰還することができたのだった。

黒芒楼を倒しても、烏森を狙う妖は存在する。良守と時音は、また結界師としての仕事に赴くのだった。

黒兜と烏森の謎

裏会・十二人会の一人である奥久尼(おくに)が烏森の調査に訪れる。
それと同じくして、夜行と烏森の敷地内に黒い箱が次々と現れる。

夜行では箱から現れた男に操(みさお)が拐われてしまう。しかし操は無機物を操る異能を使って、囚われていた部屋から逃げ出すことに成功し、無事に夜行に戻った。
そして烏森では、操を拐った男の弟が、教室の一つに巨大な繭を設置していた。その男を発見した時音は、そのまま逃走した男を追う。

一方、教室に設置されていた繭から黒兜(くろかぶと)と呼ばれる巨大な甲冑姿の妖が出現した。強大な敵に対し、対抗できる力を望む吉守。その結果、烏森が彼に力を与えてきた。しかし、烏森は黒兜にも力を与えた。
だが、黒兜はまるで烏森を攻撃するかのように地面に持っていた刀を突き刺し、黒兜は消滅した。時音が戻り、奥久尼も調査を終え帰る。

根源的に人と人が作ったものを破壊するはずの黒兜が、なぜ烏森を攻撃したのかという疑問が残ったのだった。

元十二人会第七客・無道との決戦

良守は、正守から仕事に同行するように言われた。胡散臭さを感じる良守だが、土地神の住処である神佑地(しんゆうち)にまつわることだと聞いて、同行することを決めた。

二人が赴いたのはとある二つのビルであり、それぞれに鳥居が設置されていた。
正守は、良守の仕事は決して中に入らず、中から何物も出てこないようにすることだと言い残す。そして、鳥居から神佑地に入っていった。

暇を持て余す良守だったが、ひょんなことから神佑地の中に入ってしまう。
そこには、この神佑地の主・淡幽(たんゆう)がいた。そして正守は、この地に侵入し神佑地の力を奪おうとしている男と対峙していた。

その男は、かつての十二人会の第七客であり、正守の師とも言うべき存在である無道(むどう)だった。
無道は、かつて十二人会の幹部だった時に、自分の力では太刀打ちできないほどの圧倒的な力に絶望してしまった。そして、自分も力を求めるようになり神佑地狩りを始めたのだった。

無道の圧倒的な力が正守に向けられる中、良守は新たな結界術、真界(しんかい)を一瞬作り出すが気を失ってしまう。主である淡幽は、一度この地を閉じ、新たに作り直すと言う。
無道も一緒に消えて無くなると言う淡幽だが、正守は良守だけを外に出し、自分は決着をつけるために無道のもとに向かうのだった。

神佑地狩り

ある日、墨村家を裏会の調査室の調査員が訪ねてくる。近頃行われている神佑地狩りが行われており、その犯人らしき人物が写っていると言う写真を取り出す。後ろ姿ではあったが、そこに写っているのは良守の母である守美子(すみこ)だった。

神佑地狩りの謎が深まる中、烏森に傘をもった地蔵が降り立つ。その地蔵は自分の神佑地を荒らされてしまった土地神だった。
その地蔵は黒い雨を降らせて地面を黒く染め、そこに烏森を沈めようとしていた。土地神殺しは重罪であったが、時音はやむなく結界で滅した。

良守は後日、土地神が残した傘を元いた場所に戻そうと豆蔵と共に行ったが、そこには荒らされた神佑地を閉じようとしていた時子がいた。
神佑地を閉じようとするが、神佑地にはここ以外にも穴が空いているらしく閉じることができなかった。そこで良守は、もう一つの穴を探るため、豆蔵と共に神佑地の中に入っていくのだった。

神佑地の中で、良守は結界師の武器である点穴(てんけつ)に似た道具を発見するが、顔を隠した男が襲いかかり点穴モドキが奪われてしまったのだった。

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