日本沈没2020(アニメ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『日本沈没2020』とは小松左京の小説『日本沈没』を原案としたNetflix配信のオリジナルアニメ作品、全10話。監督は湯浅政明。ジャンルはSFパニックで架空の2020年東京オリンピック終了後が舞台。日本で巨大地震が発生し、都市機能が崩壊する。未来のオリンピック選手として有望視されていた中学生の武藤歩は倒壊した東京を捨て、両親や弟とサバイバルしながら日本を旅する中で様々な人との出会いと別れを繰り返していくが、日本列島沈没はすぐそこまで近付いていた。

『日本沈没2020』の概要

『日本沈没2020』とは小松左京のSF小説『日本沈没』を原案としたNetflix配信のオリジナルアニメ作品。2020年7月9日より配信がスタートしており、全10話で監督は湯浅政明が務める。ジャンルはSFパニック。制作スタジオはサイエンスSARU。
多視点の群像劇だった原作を大胆に脚色し、本作では中学生の武藤歩と、その家族の軌跡に焦点が当てられている。
2011年の東日本大震災を受け、2020年に開催されるはずだった東京オリンピック後の日本に「日本とは、日本人とは何か」とのメッセージを投げかけるのが制作意図だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で東京オリンピックが中止されたので、本作で描かれたオリンピック後の時間軸と現実がずれてしまった。
なお視聴者の反応は賛否両論分かれており、本作の後半に登場する、純血の日本人のみ連れて脱出しようとする架空の団体が右翼的、あるいは右翼を皮肉った描き方をされているなど批判を集めている一方、後半キャラクター達がラップバトルで本音をぶちまけるシーンは同じ湯浅監督の作品『DEVILMAN crybaby』にも登場し、その青臭い熱量が評価されている。
突然の巨大地震に見舞われインフラが破綻する中で、逞しくサバイバルしながら安住の地を求める一家を主人公に据えており、流浪先での個性的な人々との出会いと別れを描いたロードムービー要素も含む。人の生き死にに関する描写はシビアで、爆発で手足がちぎれ飛んだり、人間の死体が禽獣に食い荒らされるスプラッタなシーンも多い。配信に先立って脚本の吉高寿男が執筆したノベライズが文春文庫より発売された。主題歌『a life』は大貫妙子が歌、坂本龍一が作詞作曲を担当する。

2020年、架空の東京オリンピック終了直後が舞台。
中学生の武藤歩はフィリピン人の母と日本人の父をもつ混血で、将来を有望視される陸上選手だったが、4年後のオリンピックは彼女にはまだ遠い話だった。そんな彼女が競技場で大会に出ている時に突然の巨大地震が発生。地震の被害は甚大で、東京の建物は倒壊し、道路が割れて水道管が破裂した上、あちこちで火災が起きてパニックが蔓延していた。
歩の母・マリは飛行機に乗って帰国中だったが、飛行機は地震の影響で海面に不時着する。父・航一郎、弟・剛、それに母となんとか合流をはたした歩は、近所の先輩・古賀春生や三浦七海もまじえ、壊滅した東京を捨てサバイバルの旅に出る。

『日本沈没2020』のあらすじ・ストーリー

第1話「オワリノハジマリ」

中学3年生の武藤歩は将来を有望視される陸上選手だ。その日も陸上競技場で行われる大会に参加していた。
大会後、更衣室で着替える歩は大きな地震に襲われる。目を覚ました歩の前には、崩落した天井に圧し潰された部活の仲間たちの姿があった。

パニックになった歩は、怪我をした足で自宅へ向かって駆け戻る。ビルは崩壊し、至る所で濛々と黒煙が立ち昇っている。避難所になった学校の校庭では、乾パンを巡り喧嘩する人々や力尽きて座り込む男性、母を亡くして泣き喚く子供の姿がある。

歩の自宅は倒壊していた。家族の姿もどこにもない。家族を探しまわった歩は、神社の石段を駆け上がる。石段を照らす照明が、父の仕業であると気が付いたからだ。
石段の上で、歩は父・航一郎と再会する。照明に導かれるように、神社の境内には大勢の人々が集まっていた。

そこに目を怪我した弟・剛が、近所に住む女性・三浦七海(みうら ななみ)に連れられてきた。その後、母のマリが合流し武藤一家は無事に再会を果たす。再会を喜び合った4人は、記念に1枚写真を撮った。

写真撮影の直後、境内に散らばった人々のスマホが一斉に鳴り出す。地震から数時間ぶりに電波が入ったのだ。部活の仲間を見捨てて来たのに、スマホだけは持って来たことを悔いて、歩はその場で泣き崩れる。

家族に慰められる歩。その時、突如として空から人が降って来た。それは自衛隊のヘリコプターから投げ出されたパイロットだ。絶命したパイロットの姿を見せないよう、マリは剛を胸に強く抱きしめる。

第2話「トウキョー、サヨナラ」

神社の境内ではコンビニ経営者の男性が食糧の配給を行っていた。食糧を受け取った歩は、木陰に蹲る陸上の先輩・春生(はるお)の姿を見つける。陸上に挫折し塞ぎこんでいる春生の姿に歩は悲痛な思いを隠せない。

東京の街は燃えていた。明け方、避難していた人の1人が、石段の下まで水が来ていることを見つける。近所の堤防が決壊したのかもしれない。スマホのニュースをチェックすると、沖縄沈没の瞬間がYouTubeにアップされているのを誰かが見つける。

どうやら沖縄は、本当に沈没してしまったらしい。それどころか日本本土も太平洋側に傾いており、いずれ沈没するという説も出回ってるそうだ。かつて小野寺という学者が提唱していた地殻変動による日本沈没が現実味を帯びた瞬間だった。

水位の上昇による境内の水没を見越し、航一郎は移動を提案する。食糧が尽きてしまう前に、安全な場所を探そうと言うわけだ。
移動を開始した一行は、浸水した街を進む。マリの知り合いだという男の子と、その父親を仲間に加えた一行は分帰路で2つのグループに分かれた。コンビニ経営者の男性と共に東へ向かうグループと、西へ向かう武藤家および七海、春生たちである。

武藤家と春生、七海は高速道路を辿って西へ行く。サービスエリアを通過し、一行は山間の集落に辿り着いたが、そこに生きている人間はいなかった。
翌日、航一郎は山芋を掘っていた。付近を捜索する歩は「不発弾注意」の看板を目にする。直後、航一郎は不発弾の爆発に巻き込まれてしまう。

第3話「マイオリタキボウ」

父親を不発弾の爆死で失った歩たちは黙々と山道を歩き続ける。通りかかったジープに乗せてもらった一行は、無人のガソリンスタンドに辿り着いた。給油を手伝っていたマリが手洗いに離れた直後、若者は七海へと襲い掛かった。

彼女を強姦しようというつもりなのだろう。しかし、七海は若者を返り討ちにしてしまう。彼女は格闘技経験者だったのだ。様子を見に来たマリと共に、七海は若者を失神させる。失神した若者をその場に残して、一行は若者の車を奪い移動を再開。

土砂に覆われたトンネルの手前で、一行は車を乗り捨てた。山中、用を足すために列を離れた歩と七海。しかし、七海が突然気を失って倒れてしまった。
「このあたりは大地から有毒なガスが漏れて下に溜まっている、早く上に上がってこい!」
通りがかったハングライダーの男が警告する。歩は七海に呼びかけるが、彼女は既に息絶えていた。

ハングライダー男の名前はカイトといった。彼は有名なYouTuberらしい。沖縄沈没の動画を撮ったのもカイトだ。沖縄沈没の動画を偽物と決め付けた歩は、「酷いイタズラ」とカイトを非難する。カイトに反感を抱く歩とは反対に、弟の剛は彼に懐いているようだ。

マリは剛だけでも安全な場所へ逃がせないかとカイトに相談する。しかしカイトは、自分で直接歩たち全員を案内すると言い出した。山道を歩き通した一行は田舎のスーパーマーケットに辿り着く。「食料は調達できそうだな」と喜ぶカイトに「生きる為よね」と同意するマリ。

スーパーマーケットの陳列棚はすかすかだったが、必要分の食料は調達できそうだ。
弛緩した空気が流れる中、突如として矢が射掛けられた。歩たちを泥棒と思ったスーパーの店主の手によるものだ。店主の放った矢が、剛の胸を貫いた。

第4話「ヒラカレタトビラ」

倒れた剛に駆け寄る皆。カイトが医療品をもって手当にあたるが、剛はぴんぴんしている。ポーチに入っていた携帯ゲーム機が矢を阻んだのだ。
矢を射った老人は疋田国夫(ひきた くにお)といった。翌日、一行は疋田の車に乗って「シャンシティ」という場所へ向かうことになる。

その日、焚火を囲んで野宿をした歩たちはラジオニュースを聞く。それによると全国の被災者は1億人以上、万一日本列島が沈没する場合に備え、海外へ脱出するための船舶が日本の各地に用意されたのだそうだ。満員になった船舶から順次出航予定だが、混乱を避ける為に乗船者はマイナンバーの抽選になるとのこと。これらの政府の決定をラジオはD計画として報じる。

翌日、ヒッチハイク中の外国人・ダニエルと合流した一行はシャンシティに辿り着く。シャンシティの職員は歩たちを歓迎しシャワーを勧めた。数日ぶりのシャワーと着替え、美味しい食事に歓喜する歩たち。食事中、カレーに入っていた知らない味を訝しむマリに、カイトは大麻の味だと指摘する。シャンシティでは大規模な大麻栽培をしているらしい。

シャンシティの案内人は好きなだけ留まっても出ていってもいいと言う。何でもシャンシティには自家発電が完備され、何百人もが自給自足できる体制が整っているそうなのだ。喜ぶ歩だが、このご時世において満たされすぎた生活にマリは疑問を抱く。

夜、カイトが車へ戻ると疋田が運転席で苦しんでいた。彼は麻薬中毒者で、シャンシティに来たのも大麻めあてだ。カイトから貰った大麻を服用して、疋田は禁断症状の苦痛を癒す。

第5話「カナシキゲンソウ」

疋田がシャンシティに来た目的は大麻以外にもあった。どうやら彼はシャンシティにいる誰かと会いたがっているらしい。
シャンシティは死者と対話できるマザーの能力を信じて集まった人々の共同体である。武藤一家とダニエル、カイトと疋田もマザーの儀式を見学に行く。
大地の傍らに立ったマザーは死者の遺品に触れ、その言葉を聞かせていく。

その夜、シャンシティではパーティーが開催された。
パーティーには若者が大勢参加し、DJがかける音楽に乗せて踊り狂っていた。カラフルな照明とグルービーな音楽に浮かれる歩。

ゲルに1人残されたマリをダニエルがパーティーに誘いに来る。歩と喧嘩したマリは落ち込んでおり、パーティーに乗り気ではない。そんなマリをダニエルは外へ連れ出し、広場の片隅のブランコを一緒に漕ぐ。そこでマリはダニエルがユーゴスラビア出身で、戦争で妻子を亡くした過去を知る。愛する家族を失ったダニエルに共感を覚えたマリは、「強くしてないと壊れちゃいそうで」と、気丈に振る舞う胸の内を吐露する。

明け方にゲルに帰った歩をマリが出迎える。マリは朝焼けに染まる広場に椅子を出し、長くなった歩の髪を切ってやる。そこでマリは「帰る国がない人だっているんだから我慢しなきゃね」と、ダニエルの身の上話を思い出して嗚咽する。歩はマリも寂しいのをずっと我慢していたのだと知り、母娘の絆が強まった。

一方、疋田は大麻の幻覚で死んだ孫とマザーの息子・大地を混同し、塔から助け出そうとしていた。そこへマザーと浅田が駆け付け、大地誘拐の現行犯として疋田を拘束する。

第6話「コノセカイノオワリ」

シャンシティののびのびした暮らしで生まれ変わった春生は、早朝にジョギングをするまでに気を持ち直していた。朝食の席で「走るの楽しい?」と剛に聞かれた春生は「どうかな」と微笑む。

日中、歩は下半身不随の男の世話をしていた。男がベッドパイプをある一定の法則性で叩いてるのに気付いた歩は、それがモールス信号だと思い当たる。歩の勘は正しく、下半身不随の男はシャンシティを大地震が襲うと警告していた。男の顔をよく観察すると、彼は日本沈没を唱えた地質学者の小野寺だった。

その日の夜は、マザーの息子・大地の10歳の生誕祭だ。準備の途中、剛は地下に拘束されている疋田を見つける。
その頃、歩とマリは広場を駆け回り、地震がくるから早く逃げろと群衆を促していた。そこへ小野寺の言う通り大地震が襲い来る。

マザーは部下にシャンシティの住民の避難誘導とゲート開放を命じる。彼女はシャンシティの体制維持より、信者が散り散りになっても生き延びる方を選んだのだ。そうしてマザーは、塔の最上階へと向かう。最上階に到達したマザーと浅田の眼前で、「おかあさんありがとおおお」と大地が感謝を述べる。

初めて喋った大地に歓喜するマザーと浅田だが、直後に天井の一部が崩れ落ち、大地が瓦礫で圧死する。カイトの手引きで独房から出た疋田は、孫と混同していた大地の死に絶望する。

パニックの最中、車に乗った武藤家、カイト、春生、小野寺はシャンシティからの脱出を果たす。その際の騒動で疋田が銃に撃たれて命を落とした。また、マザーと浅田、そして塔に残ることを選んだ信者たちもまた、シャンシティと運命を共にすることを選んだ。

第7話「ニッポンノヨアケ」

武藤家は日本を脱出する船が停泊している港へと向かう。小野寺は、近いうちにまた大きな地震が来ることを予測していた。
港では人々が自衛隊に誘導され、乗船待ちの列に並んでいた。しかし割り込みを巡る喧嘩や、自衛隊の目を盗んで船へ忍び込もうとする輩が絶えない。自衛隊のテントではマイナンバーの照合が行われ、当選者が家族に涙ながらの別れを告げて、船への階段を上っていく姿があった。

歩は港で陸上部の顧問だった風間コーチと再会を果たす。歩は風間コーチに自分が特別枠に入っていると教えられる。歩は陸上の選抜チームに抜擢されており、将来有望なスポーツ選手として、政府が設けた特別枠で脱出できることになっていたのだ。家族と別れ、歩は船に乗り込んだ。

しかし、船が出航するより先に地震が来て、富士山が黒煙を噴きだした。小野寺が予知した地震がやってきたのだ。その際に春生が肩を怪我してしまう。
沿岸の道を車で走っていた一行は、海面に浮かぶ構造体、メガフロートを発見した。そのメガフロートは日本人のみ乗船を許す国粋主義者の団体だった。

埠頭に着いた一行はメガフロートへ飛び移ろうとするが、外国人が同行していることを理由に一行は乗船を拒否される。埠頭に立ち尽くす一行のもとへ気の良い漁師の老人がやってきた。老人の船で海に出た直後にまた地震が起きて、メガフロートは炎に包まれる。

一行の乗った船も津波に飲まれてしまい、3グループに分かれて脱出を試みた。さっきまで港のあった陸地も海に沈んでいた。

第8話「ママサイテー」

歩と剛と老人はテントで荒れ狂う海を漂流していた。ある朝、けたたましい鳥の鳴き声で目覚めた歩は、死んだ老人が海鳥に啄まれている凄惨(せいさん)な光景を目の当たりにする。パニックを起こした歩は老人の死体を海へ落とした。

再び夜を迎え、歩と剛は父親の思い出話をする。テントに寝転がった剛は、「自分たちが死んだらパパやママのこと覚えてる人いなくなっちゃうんだね」と言って寂しそうな顔をする。そこへミネラルウォーターのペットボトルが流れ着いた。歩は蓋を開け水を剛に呑ませるものの、中身は潮水だった。ペットボトルに穴が開いていたのだ。

飢えと衰弱でぐったりした歩と剛だが、力尽きる寸前に2人はマリに救助された。ボートには春生の姿もある。
合流を果たした一行は、小野寺が示した座標を頼りに、海路で岡山を目指すことにする。

途中、歩たちは漂流しているモーターボートを発見する。モーターボートに絡みついた網を解くため、マリが海中へ潜っていった。網を解くことには成功したが、マリは力尽き命を失ってしまう。

第9話「ニッポンチンボツ」

モーターボートで海上を駆ける一行の元に日章旗を立てた潜水艇がやってくる。潜水艇に乗っていたのはカイトと小野寺だった。

一行はもとは岬の先端だった岩場に上陸する。そこは地殻変動の影響で温泉が湧いていた。しばし温泉で休憩した一行は、小野寺がモールス信号で示した座標へと向かい始める。
そこには彼とその協力者の研究所があるらしい。目的の座標に到着すると、そこは洞窟だった。

研究所は洞窟の奥にあるらしい。カイトと小野寺が洞窟へと入っていったが、暫くすると激しい揺れが始まった。沈み始めた洞窟から慌てて逃げ出すカイトと小野寺。一度は呼吸を止めてしまった小野寺だが、カイトのおかげで辛うじて息を吹き返す。しかし、小野寺とカイトのスマホは、高波にさらわれてしまった。

カイトのスマホには研究所のパソコンから転送したデータが保管してあり、あれがなければここに来た意味どころか、日本再生の可能性すらも消滅する。
高波が迫る中、春生はスマホの回収に向かう。どうにかスマホを拾うことには成功したが、あと1歩のところで波に吞まれてしまう。

波に飲み込まれる寸前に春生が投げたスマホを歩が受け取る。しかし波が引けたあと、春生の姿はどこにもなかった。

第10話「ハジマリノアサ」

波に呑まれた春生と、高波を被った小野寺が命を落とした。
潮水にくり返し洗われた歩の傷は酷くなり、歩くたびに激痛が走る。それでも歩は両親や春生が救ってくれた命を粗末にしてなるものかと、諦めず歩き続ける。
浅瀬を歩いて海面から飛び出した建物の高層階に到着した歩たちは、そこで夜を明かすことにする。

春生が死守したスマホは潮水に浸かったせいでネットに繋がらなくなっていたが、幸い中のデータは生きており、日本の陸地が再び隆起する順番が記録されていた。
カイトは瓦礫を寄せ集めた筏を作り、歩と剛を乗せて漕ぎ出す。

沖に漕ぎ出したカイトは海に落ちた気球を拾い、1人で筏から脱出していった。筏から飛び立ったカイトは、荒天に翻弄されながらも自分のスマホに電波を受信させる。
スマホが歩たちの位置を発信した事で、救助ヘリが筏の漂流地点を特定する。歩と剛は救助ヘリに回収されたが、暴風に流されてカイトはどこかに消えてしまった。
歩と剛は回収されたヘリの窓から沈没していく日本列島の最後を見届ける。

海外の病院にヘリで搬送された歩は、足首の傷口から炎症を起こし、命が危ない状態だった。助かるためには、足首から下を切断しなければならないらしい。その夜、歩はスマホに残った動画を観る。動画には剛、マリ、春生、小野寺、カイトが映っていた。彼らは口々に歩の15歳の誕生日を祝い、彼女が良い人生を歩めるように応援のメッセージを送る。

大事な人たちの応援を受けた歩は、片足を失ってでも生きる道を選んだ。

8年後、剛はeスポーツの選手としてオリンピックに出る夢を叶えた。そして歩も片足義足の陸上選手としてパラリンピックに出場する。両親が付けてくれた歩の名に恥じぬように、前へ向かって歩んでいるのだ。

『日本沈没2020』の登場人物・キャラクター

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