ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』とは、京都アニメーションによって制作された『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の外伝映画作品。2019年9月6日から上映された。自動手記人形として代筆を通して人の心に触れる少女・ヴァイオレットと、その依頼主・イザベラとの出会いから始まる物語。この出会いによって、イザベラが過去に生き別れた妹・テイラーとの未来を結びあわせていく。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』の概要

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』とは、京都アニメーションによって制作された『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の外伝映画作品。2019年9月6日から上映された。Filmarksとぴあの初日満足度ランキングで1位を獲得。週末興行収入ランキングでは、上映館数が少ないながらも初登場6位を獲得した。好評につき、最初は9月6日から三週間限定だったが、四週目以降も一部劇場で上映されることになった。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は暁佳奈によるライトノベル作品。第五回京都アニメーション大賞の大賞受賞作であり、これまでで唯一の大賞受賞作。2018年1月〜4月にかけてアニメ化もされている。また、2020年1月10日に世界同時公開予定であった「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は京都アニメーションの放火事件の影響で公開日延期となってしまったが、そちらも非常に注目されている目が離せない作品である。
感情を持たない武器として成長してきた元軍人の少女・ヴァイオレットが、少佐・ギルベルトからもらった「愛してる」という言葉の意味を求めて、C.H郵便社で自動手記人形として代筆を介して人の心に触れ、人間らしく成長していく。ヴァイオレットは、家庭教師に向かった先でイザベラという少女に出会う。それがきっかけで物語が始まる。イザベラには生き別れのテイラーという妹がいた。ヴァイオレットを筆頭に、C.H郵便社が二度と会うことのなかったであろうテイラー、イザベラの未来を結びあわせていく。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』のあらすじ・ストーリー

名家の子女のみが通うことができる女学園にイザベラ・ヨークと呼ばれている少女が在籍していた。彼女はそこから出ることができず、監獄に閉じ込められているようだと感じていた。
そこへ家庭教師として現れたのがC.H郵便社と言うところで働いているヴァイオレット・エヴァーガーデンだ。ヴァイオレットは普段は代筆を行う自動手記人形として働いているのだが、ヨーク家のような名家からの依頼は断れず4日もかけてはるばるこの地へやってきた。依頼内容は舞踏会がある三ヶ月後までイザベラが立派な淑女になるべく礼儀や作法、常識を教えることだ。
初めて出会った時、イザベラはヴァイオレットをよく思っておらず、用がある時以外話しかけるなと言うほどだった。しかし、気管支が弱いイザベラがひどく咳をしていると、すぐにヴァイオレットは寄り添ってくれ、症状がおさまってイザベラが寝た後も手を握っていてくれた。そんなヴァイオレットの優しさに触れているうちにイザベラは心を開き、友達として接するようになっていった。一緒にお風呂に入ったり、髪を編みあったりと、あくまで主従関係だが友達のような振る舞いも見られるようになっていった。
そんな日々を過ごしているうちに舞踏会の日、ヴァイオレットが女学園を去る日がやってくる。その舞踏会では他の生徒たちも着飾っている中でも、ヴァイオレットの美しさが一見際立っていて、周囲の目を惹きつけていた。イザベラはヴァイオレットに習った通りの踊りができていて二人はとても楽しく踊っていた。そんな楽しかった時間が過ぎ、別れの時がやってきた。
最後にイザベラはヴァイオレットにある手紙の依頼をする。そこでヴァイオレットはイザベラの過去を知ることになる。

エイミー・バートレット(後のイザベラ・ヨーク)は娼婦街で一人、貧相な生活をしていた。盗品を売ったり、作り物の花を売ったりして暮らしていた。
そんなある日、一人の捨て子の少女テイラーと出会う。そこでエイミーは、親もいなくて貧相な生活を強いられるこの世界への復讐だと言ってテイラーを妹として、絶対に真っ当な生き方を与えてやると決意する。生活が苦しく、環境も最悪だったが、そこには笑顔があった。
そんな中、突如エイミーの父親を名乗る者がエイミー達の家に訪ねてきた。その人はヨーク家の当主でエイミーの母親の愛人、正真正銘の父親だった。その父親はエイミーに対して、今の名前やここでの関係を捨ててヨーク家に来いというのだ。なぜ急にこんな話を持ちかけてきたかというと、後継人が病気で全員倒れてしまったからだそうだ。エイミーの父親はヨーク家へ来る交換条件としてテイラーを孤児院へ入れることを確約してくれる。それを聞いたエイミーは、テイラーのためにも自分を売ることを決める。テイラーはイザベラと離れることに悲しみ、泣きじゃくるが、イザベラの決断が変わることはない。
ここからエイミー・バートレットはイザベラ・ヨークとして第二の人生を送ることになる。

ある日、孤児院に在籍しているテイラーの元へ二通の手紙がヴァイオレットの同僚で、C.H郵便社で郵便配達人として働いているベネディクトによって届けられた。テイラーはまだ文字を読むことができず、ベネディクトに読んでもらう。
一通はヴァイオレットからの手紙であり、「何か困ったことがあったら私を訪ねて」という内容のものだった。もう一通は差出人不明だった。こちらの内容は、「魔法の言葉を授けます。ただ『エイミー』と唱えてください。」という短いものだった。それを聞いたテイラーは、エイミーと過ごしていた時の事を思い出し、泣いてしまう。この手紙がテイラーの将来を変えることになる。
三年後、テイラーはヴァイオレットからもらった手紙を頼りにC.H郵便社を訪れる。そこでテイラーはC.H郵便社の社長、クラウディア・ホッチンズにここで働かせて欲しいと懇願する。ホッチンズは孤児院がこんなに幼い少女を一人で遠くまで行かせるはずがないとテイラーに問いただした。テイラーは孤児院を抜け出してきたことを白状する。ホッチンズは孤児院へ連絡を入れるとともに、少しの間だけここで自動手記人形の手伝いをする許可をくれる。だがテイラーは、ここに来たのは郵便配達人になりたいからだと言い出す。ベネディクトはこんな幼いガキにできる仕事じゃないと言うが、ホッチンズやヴァイオレットに頼まれて郵便配達人の仕事をテイラーに教えることになる。
テイラーは一日一緒に街を回り、ベネディクトが一切地図も見ずに配達している様子を見て尊敬の意を持つ。そこからベネディクトのことを師匠と呼ぶ。仕事を教えてもらった帰り、テイラーはベネディクトに何故郵便配達人になりたいのかと尋ねられる。テイラーは「郵便配達人が運ぶのは幸せだから!」と満面の笑みで答える。
C.H郵便社に帰ってきた後、ベネディクトはテイラーに文字が読めないのかと尋ねる。まさにその通りで、テイラーは今日の配達でも数字しか読めていなかった。その会話を聞いていたヴァイオレットは文字を教えてくれると言う。さっきまで気持ちが沈んでいたテイラーはその一言を聞いてヴァイオレットに飛びつきながら喜んだ。それから少しの間、ヴァイオレットはテイラーと共に配達に出て、文字の勉強に付き合った。
そんなある日、ヴァイオレットの友人であり、テイラーの姉のエイミーの話になる。テイラーはどんな風に彼女と過ごしていたのか、幼すぎてほとんど覚えていなかったことを嘆く。そこでヴァイオレットはエイミーに手紙を出すことを提案した。まだ文字を書けないテイラーは躊躇うが、ヴァイオレットは自動手記人形の私にやらせてくれと助力を申し出て後押しする。そこで初めてテイラーはヴァイオレットに手伝ってもらいながら、エイミーに手紙を書くことになる。

手紙を書いた翌日、テイラーとヴァイオレットはベネディクトにその手紙を届けて欲しいと伝える。だが、イザベラの住所がわからなかったのだ。友達のヴァイオレットは手紙を送りあっていたが返事が来なくなり、同様に住所がわからなくなっていた。C.H郵便社一行は、イザベラはどこかへ嫁いでしまったのだと推測する。そこでベネディクトは配達することを渋るが、ヴァイオレットやホッチンズの後押しもあり、ホッチンズから新しい配達用の乗り物を買ってもらうことを交換条件に引き受けてくれた。
ベネディクトはシラミ潰しに電話で情報を聞き出し、絞り出していく。名家の嫁ぎ先なんてそこまで数はないと言いながらも、疲労があらわになる程に苦労していた。そんな時にベネディクト宛に情報提供の手紙が届き、そこからイザベラの住所を突き止めることに成功した。
テイラーは配達するベネディクトについていった。テイラーはヴァイオレットに、手紙を書く提案をして手伝ってくれたことに対する感謝を伝え、出発する。到着したのは名家の嫁ぎ先にふさわしい豪邸だった。イザベラは滅多にそこからは出てこず、出てくるときの時間帯が決まっているらしい。これはベネディクトの情報網によるものだ。その時を茂みから覗きながら待っていると案の定、イザベラは出てきた。ベネディクトが手紙を渡しにいくが、会いたくても会えなかったエイミーを前に、テイラーは茂みに隠れたままだった。手紙を見たイザベラはこみ上げる感情を抑えきれず号泣してしまう。手紙の内容は、「私はテイラー・ヴァートレット、エイミー・ヴァートレットの妹です。」というものだった。涙を流すイザベラを見て、ベネディクトもテイラーも感極まって泣いていた。その後、イザベラはベネディクトに対し、テイラーに手紙を書くことを宣言する。それを聞き届けベネディクトはその場を後にし、テイラーと合流して帰路につく。
ベネディクトは会わなくてよかったのかとテイラーに尋ねるが、テイラーは立派な郵便配達人になって自分で手紙を届けに行くと決意するように口にする。エイミーの自分を犠牲にしてヨーク家に引き取られてでもテイラーに真っ当な生きかたをさせたかったという気持ちに応えるべくした決断だ。それに対してベネディクトは「郵便配達人が届けるのは幸せだもんな。」と前にテイラーが言った言葉で返した。
その後、テイラーはエヴァーガーデン家に養子として引き取ってもらえることになった。そこで文字の練習をして働ける歳になったらまたC.H郵便社で働くのだと言う。

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』の登場人物・キャラクター

ヴァイオレット・エヴァーガーデン

CV:石川由依

この作品の主人公。容姿端麗で周りを魅了するような美しさを持っている。幼い頃から軍で感情の持たない武器として育てられ、そこで戦争を経験している。戦争での活躍は目覚ましく、単独で一個分隊に匹敵する戦闘能力を持っていたが、大戦時の戦傷で両腕を失い義手をしている。戦争が終結し、退役後はC.H郵便社で自動手記人形として働いている。働いているうちに手紙を介して人の心に触れ、人間味は増してきているが、その境遇から感情表現が乏しい。
名家であるヨーク家からの依頼を断ることができず、イザベラの家庭教師をすることになった。イザベラと過ごしているうちに友達関係となり、別れの日に書いた手紙の代金は友達だから受け取りたくないと言っていた。その時にヴァイオレット自身もテイラーに手紙を書き、友達の妹を気にかけるような良心に満ちた行動をとった。三年後テイラーが訪れた時も、文字を書けないテイラーに教えたり、生活の世話をしたり、エイミーに手紙を書くことを提案し、テイラーとエイミーの絆をつなぐ架け橋となった。

エイミー・バートレット/イザベラ・ヨーク

CV:寿 美菜子

ヨーク家の跡取りとその愛人の間に生まれた。エイミー・バートレットとして母親と共に暮らしていた。母が死亡した後は盗人となって一人で貧しい生活をしていた。ある日テイラーと出会い、姉として共に暮らすことになる。一年後、エイミーの前に父親が訪れ、エイミーはヨーク家の跡取り娘として引き取られ、そこからイザベラ・ヨークと名前を変えて女学園に通っていた。
ある日、そこに家庭教師として訪れたヴァイオレットに礼儀作法を学びながら友人関係になっていった。ヴァイオレットの家庭教師が終わってからも手紙のやり取りを行なっていたが、イザベラが嫁いだことを境に交流が途絶える。嫁ぎ先に郵便配達人として来たベネディクトからテイラーによる手紙を受け取り、その後テイラーに手紙を書くことを決める。

テイラー・バートレット

CV:悠木碧

元気一杯な女の子。
親に捨てられていたところでエイミーと出会い、妹として一緒に暮らす。一年後、エイミーがヨーク家の後継人として引き取られることを交換条件に孤児院に入れることになった。
ある日、ベネディクトによってヴァイオレットとイザベラから手紙が届けられる。それがきっかけでテイラーは郵便配達人になることを夢見るようになった。そして三年後に「何か困ったことがあったら私を訪ねて」というヴァイオレットの手紙を頼りにC.H郵便社を訪れる。
郵便配達人になることが夢だったテイラーは社長に頼みこみ、少しの間働かせてもらえることになった。そこでベネディクトを尊敬し、師匠と呼ぶようになる。その後、テイラーは文字が読めなかったので、ヴァイオレットに教えてもらいながら業務に勤しんだ。
そこでヴァイオレットからエイミーに手紙を出すことを提案され、ヴァイオレットに手伝ってもらいながら手紙を書く。ベネディクトと共に、エイミーの元へ手紙を届けに行ったが、会うことはせず、そこで立派な郵便配達人になって自分で手紙を届けに行くことを誓う。その後、エヴァーガーデン家に養子としてもらい、そこで文字を勉強しながら働ける年齢になったら郵便配達人になることを夢見ている。

ベネディクト・ブルー

CV:内山昂輝

口と態度は悪いものの、根はお人好し。ヴァイオレットの同僚でC.H郵便社で郵便配達人として働いている。ヴァイオレットが入社してから面倒を見てくれる兄貴分的な存在。
ある日、ヴァイオレットとイザベラからの手紙をテイラーに届けることになる。そこで文字が読めないテイラーに対してその手紙を読んであげる。その三年後、C.H郵便社に訪れたテイラーと再会し、郵便配達人を夢見ていたテイラーの面倒を見た。地図を見ずに配達する姿を見たテイラーから師匠と呼ばれる。その後、テイラーの手紙を届けるためイザベラの住所を調べ、テイラーと共に配達に向かう。

クラウディア・ホッチンズ

CV:子安武人

C.H郵便社の社長。大戦中はライデンシャフトリヒ国陸軍の中佐だった。退役後に会社を立ち上げ、今に至る。情に厚い性格。
何かと面倒を見てくれるようなシーンがあり、この性格の一端が垣間見えている。ヴァイオレットがC.H郵便社で働いているのも、退役後に行くあてがない中で情に厚いホッチンズに誘われてのことだった。
テイラーが孤児院を抜け出してC.H郵便社に赴いた時、孤児院に連絡を入れ、郵便配達人として働きたいと言ったテイラーに少しの間だけ働く許可を社長として与えた。その後、テイラーがベネディクトにエイミー宛の手紙を届けて欲しいと頼んでいる時も後押しし、それに対してベネディクトが提案した交換条件の新しい郵便配達用の乗り物も早急に手配した。

カトレア・ボードレール

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